
僕が始めて入社した会社は、今で言うブラック企業というやつでした。
入社したての僕はこの会社のいう事は全て正しく、社会の基本だと思っていました。
僕が最初に与えられた仕事は原価の安いPC教材を100万くらいで売る仕事です。
入社したての僕は、頑張って営業をするも、まったく売れませんでした。
成績の悪い僕は、なんとかして売らないとと必死で営業トークの勉強をしました。
小さな会社だったので、見かねた社長がじきじきに僕に営業トークの指導をしてくれました。
毎晩遅くまで、営業トークの練習。そこで色々な話術のテクニックを教えてもらいました。
営業トークというより、僕は話術の修練にのめりこみました。
後半は教えてもらったトークを改良し、独自の理論に基づく話術で売って売って売りまくりました。
気がついたら、後輩に自分のトークを教える身分になっていました。
調子に乗っていたと思います。そして夢中でした。話術で人を丸め込む事に。
その後、その社長はタイで売春宿を経営するんだと日本を離れ、会社は解散となりました。
意味が解らない結末でしたが、その社長から学んだ事は、自分の人生を大きく変えて、ご飯を食べて行くための技術を教えてくれたと今でも感謝しています。

それから数年がたち、僕は今、その頃に学んだ話術を人に教える仕事をしています。
昔と違って、今はちゃんとしたものを販売していますw
普段はエリアマネージャー的な仕事をしていますが、夏になると大きな仕事が始まります。
それが、「接客大会」の出場者指導です。
接客大会とは、ショップスタッフ達が、その接客技術を競う大会です。
毎年、夏に開かれるこの大会。
10分という持ち時間で、お客様の心理をつかみ、それにあった商品をお勧めするという物です。
お客様役を演じるのはプロの役者さん。わずか10分でそのお客様役のニーズを聞き出し、商品のよさをアピールし、納得させるという難しい大会です。
そして約2,000名のスタッフの中の頂点を決める大会なのです。
色々な会社から自慢のスタッフが出場し、技術レベルも日本でトップクラスの大会と言われてます。
優勝できた会社は、次回大会まで、かなり有利に仕事を進められる大会でもあるので各社必死ですw

毎年、春になると弊社の各店より10名程の選手が選抜されます。
各店のまあ、マシなスタッフというレベルの人たちです。
ほとんどが女の子。今年は4月くらいからこの選手達の育成が始まりました。
まずは、パーフェクトな「いらっしゃいませ!」の練習。
お辞儀の角度は30度。敬礼の角度で行い、ファストインスローアウト。お客様と正対し正姿勢を取って行います。いらっしゃいませの「い」にアクセントを持たせ、語尾は必ず止める。
とかいうような指導から始まるわけですね。
約、3ヶ月をかけて10分間の接客を極めてゆきます。

しかし、彼女達を数々の困難が襲います。
スランプ。緊張。成長の遅れからくる焦り。
その辺もきっちりケアしながら指導しないと、壊れていきます。
2ヶ月ほど経つと、彼女達に「必殺技」的なものが生まれてきます。
言い回し的に華麗に決まるトークや、一言でお客様の心理を掴む質問方法など。
それは僕が指導したわけではなく、彼女達が20数年間生きてきて何かのタイミングで身に付いたような物ですね。
なんとなく生まれてきた「必殺技」を自分の知識などで改良を重ね、ブラッシュアップしていきます。
この頃になると彼女達は、上手く出来ないと泣く。悔しくて泣く。それくらい気持ちが入り込んできます。
そして、7月に入ると「大会」へ向けて各地区の「予選大会」が始まります。
予選前は、かなり練習をします。追い込みですね。
その追い込みは、かなり必死。僕も必死。
そして、明日、その予選大会が3都市同時に開催されます。
つまりは明日が勝負。

この一週間、このブログを低出力で維持しつつ、毎日遅くまで練習を重ねてきました。
そして、今日、最後の練習で「万全」まで持ってくることができました。
もう教える事は何も無い。
全力で行って来い!!
神様。
明日、彼女達が自分らしく全力を出し切り、素敵な涙を流せるようお願い申し上げます。
つまり・・・
僕のリアルお仕事は、自分が学んできた「必殺技」の数々を叩き込み、色々と管理しながら大会で優勝させるという
「リアル育成ゲーム」ということですw
ただ、ギャルゲー的展開は皆無ですw
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