
・・・300円。
ある一定の期間にある一定の体験をした人にとって、その金額は特別なものだ。
大人になり、自分でお金を稼ぐようになった。
毎日忙しく、子供の頃になりたかった職業とは程遠い仕事を毎日こなしている。
そんな中、ランチタイムに立ち寄った、ちょっとこじゃれた洋食屋。
他を当たる時間もなく、空腹に即されドアを開け、席についてメニューを見る。
『 Aランチ 1200円 』
ある一定の期間にある一定の体験をした人はこう思う。
『4個分か・・・高いな。』
そう感じる理由はただ一つ・・・少年の頃、300円という金額にとても大きな夢を与えてもらった記憶があるからだ。
さて・・・・今日は何を作ろうかな?

時々あるんだよなー・・・。
ああ!もうたまらない!あれが食べたい!!ってなること。
「モスチーズバーガー」とかさ、「ノーマルのカップヌードル」とかw
ガンプラも似たようなもので、むしょうにアレが作りたい!ってなったりすることがある・・・。
そういう時は、その感情に従うようにしてるんですよねー・・・。
そんなわけで、模型屋をはしごして・・・探して探してやっとみつけてきた・・・・。

バンダイ ベストメカコレクションNO4 1/144 ガンダム。
そう・・・何千種類もあるガンプラの中で、最も最初に発売されたガンプラの始祖だ。
一番最初のガンプラ!
発売されたのは、今から約40年も前の1980年!
ガンダムのプラモデルシリーズとして発売されたわけではなく。
当時の人気ロボットのプラモデルシリーズ「ベストメカコレクション」の第四弾として発売された・・・。
ちなみに、NO1がダイデンジン、NO2がゴッドシグマ、NO3がゴーディアンなんだよね・・・。
40年前の時代を感じるねー。

く・・・詳しいのは文献をよく読んでるからだからねっ!
古いワインに詳しい人だって100歳とか200歳なわけじゃないでしょっ!?
でも・・・40年も前のプラモデルだと相当プレミアついて高いんじゃない?っておもうけど・・・・

なんと今でも当時の300円という金額のまま発売され続けてるんだ。
つまり今でもバンダイは、このキットを作り続けてるってことだ。
40年間・・・値段を上げる事無く・・・・。こういう所がすごいよね・・・。

しかし、もっとすごいのは・・・
この40年間、その時代に商品として出せるよう、金型を改修し続けているというところ・・・。
つまり・・・今売っている300円のガンダムは、40年前のガンダムとは違うということ。
大きな部分はそのままで、パーツの合いや細かい所を調節してある。
どこがどう変わっているのかを感じ取る・・・それが「通」ってもんだ・・・!
今日買ってきたのは、近年再販されたメカコレのガンダム!
さっそく組んでみよう。

おお~っ・・・これこれ!この色艶!!
真っ白ではなく、うすーいグリーンが入ったこの成型色!!
メカコレのガンダムと言えばこの色だよな~w 好きっ!
でもあれ? あれ? あれ!?

・・・・ないだと!?
あれが・・・今は入ってないのか!?
セメダイン(ひし形)
— セメダイン【公式】 (@cemedinecoltd) 2017年2月7日
#ガンプラで発売して欲しい商品 pic.twitter.com/m3VL175Wyi
なんてこった・・・!!あの香りを嗅ぎながら作るのが嬉しかったのにっ!
コスト削減・・・300円という金額を保つための悲しい取捨選択の犠牲になったのか?

箱にもちゃんと書いてある・・・これも時代の流れなのか・・・。
今のガンプラと違って、当時のキットは組み立てるために接着剤が必須だった。
その為に当時のガンプラには少量のセメダインが付属してたんだよなー・・・。

迂闊だった・・・。

せっかく当時を再現しようと、ニッパー代わりの爪きりまで買って来たのに・・・・。
仕方ない・・・自前の接着剤を使うか・・・ちぇ・・・

ランナー数はわずか2枚・・・。
ものすごく大味なパーツ分割。これぞ旧キット!って感じだねーw

このランナー状態で塗装した色指定もなつかしいなあ・・・w

しかしこのキットには大きな罠がある・・・。
現代ガンプラをたくさん作った人ほどはまりやすい罠・・・。
舐めてかかると火傷する作りになってるんだよ・・・。
そこに気をつけて慎重に組んでいこう・・・。

爪きり・・・w 切りにくい・・・w

序盤の難所・・・。
ここを最初に作ることになるんだよなー・・・。
⑰のパーツの接着・・・これが実はとても重要で、完成後はガンダムの腕と肩の接続部分になり、可動をつかさどる箇所になる。
ここがしっかりと接着されてないと、肩の関節がゆるゆるになってしまうんだ・・・。
接着剤が乾くまで次の工程に進むべきではないんだけど・・・。完全に乾燥するには1日~2日かかる・・。
子供がそんなに待てるはず無い・・・だから子供がつくるこのガンダムは腕がプラプラになるんだよね。

こういう関節部分がポリキャップになったのは、その問題を解決する為だったんだろうなあ・・・。
奥が深いよ、ガンプラは・・・。

いいなーこれw
マニュピレーターというより完全に「ぐー」だw かわいいw
手の甲の部分に白い装甲が無い・・・そういえばいつからそれが当たり前になったんだろう・・・。

よし!腕は完成だっ!
関節部分は瞬間接着剤と効果スプレーを使った。大人の技だ・・・w
そして・・・腕の組み間違いも無い・・・罠は無事回避だ・・・w

わかるだろうか・・・?
この「親指の位置」と、「腕の傾斜」の関係性。

実は腕のパーツはただの四角ではなく、片方のパーツだけわずかに末広がりになっている。
これが腕の外側にくるのが正しい形。
親指が内側で、傾斜が外側。
似たようなパーツだけど、この位置関係が逆にも組めてしまう・・・。
これが罠なんだよね・・・。

足のパーツもそう。
膝から下にかけて、一見同じパーツに見えるが、左右がきっちり決まっている。

これも実は足首の関節が若干斜めになっている。

左右間違えて組むと、足がきれいにハの字にならない。
内側に来る股間の接続部分に対して、外に広がるように組みあがらないといけないわけで、これを左右間違えると、ガンダムはちゃんと大地に立たない。
厄介なことに、当時のキットは間違えて組むことができてしまう。
しかもこれは旧キット・・・そう接着している。
やりなおそうと思えば、確実にパーツが痛む。後戻り、アンドゥは通用しないのだ。
これがこのキットの罠なんだ。

しかし、そんな事は罠でもなんでもなく、ちゃんと説明書に書いてある。
プラモデルとは組み立て説明書を見ながら組み立てていくもの。
そんな事は、ガンプラを作る人は十分わかっている。

でも、早く完成させたいという欲望に操られ、そんな基本的な事を忘れてしまう・・・。
ガンプラに慣れていけば、慣れていくほど、手癖で説明書を読まずに進めてしまう。
どんなに焦っていても、大事な文字は読まなければならない。
人生それで失敗した人も多いだろう・・・こいつはそういう事を思い出させてくれる・・・。

僕は昔それで組み間違えて、僕が作ったガンダムは綺麗に立たなかったなあ・・・
でも今回は綺麗に立ったよ。腕もきれいに揃ってる。
僕は、大人になったんだなあ・・・・。
さあ・・・腕をつけ・・・いよいよガンダムの象徴!
頭にブレードアンテナを接着だ!!
・・・って

ああ~っwww
あはははっww

ブレードアンテナに「旗」ついてるww
なるほどなあ・・・ちゃんと改修してるんだあw

ガンダムの象徴、ブレードアンテナの先は本来尖っている。
でもこれをプラスチックで作ると指に刺さってしまう恐れがある・・・。

なのでバンダイは安全面を考慮していつの頃からか、ガンダムのアンテナに「旗」をつけるようになった。
お子さんが誤って、指に刺さないようにする為だ。
もちろんその姿は原作とは違う・・・でもそれに気づける大人はこれを切り落とせばいい。
でもその工程は組み立て説明書には記載されない。
なんでこれがついてるか、これをどうすればいいか大人ならわかるでしょ・・・・そういう事だ。
これが発売された頃はおおらかな時代だったので、もちろん旗なんかついてなかった。
40年の歴史の中で改修されたのだろう。

全てはここから始まったんだな。
ポリキャップの関節や、接着剤いらずのスナップフィット、組間違いしない為の様々な工夫。

こういう話を読んだことがある。
昔々のガンプラブームの頃・・・ガンプラの工場見学に来ていたある子供が、このガンダムを見てこんな事を言ったそうだ。
「このガンダムは真っ白だね。」
その一言にはっとしたバンダイは、それから多色成型の研究をはじめ・・・
近年の完璧な色分けされたガンプラまでたどり着いたらしい。

常に顧客と向き合い、意見を取り入れ、その技術を極限にまで高めてきたガンプラ。
そのはじめの一歩だったバンダイのベストメカコレクションNO4。
それを組むことで、大きな歴史の流れを感じる事ができる。
まさに温故知新・・・古いキットを作るからこそ、発見できる今の良さってのがあるよなあ。

なんか無性にこれが作りたくなったのは、最新作に触れてその進化のすごさを改めて感じたかったからかも知れない。
また色々勉強になって、楽しかった・・・。

ベストメカコレクションNO4 1/144 ガンダム。
ごちそうさまでした!
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