
【光のお父さん】、TVドラマ用の脚本が完成して数日後・・・。
ぴぃさんは一冊のファイルを持ち、嬉しそうな顔をして じょびハウスを訪れていた・・・。

「本日はリアルパートで、マイディーさん役を演じる役者さんの候補ファイルを持ってきました。」
「おお~っ!!」
「こんな感じでどうでしょう・・・。」

「これは~っ!■■■■に出てた、◇◇◇◇◇くんじゃないですかーっ!」
「彼、最近人気ありますからね~。」
「おおっ!○○○○○ーに出てた、×××××もいるっ!これは目福ですねw」
「脚本も出来たのでそろそろ俳優にオファーを入れ始める時期です。」
「マイディーさん!見ないんですか?w」

「あ~僕はいいよ~。
別に誰も僕本人を知らないから似せる必要もないし・・・。
読者でもある ぴぃさんやあるちゃんに決めてもらうほうがイメージに合うんじゃないかな。」
「まあ・・・たしかにそうですね・・・」

「でも、ファイルに載ってる皆さん、ちょっと『若い』ですねw」

「まあ、ここは本人の『実年齢よりも下げて』、FFXIVをプレイしている平均年齢層あたりのイメージでファイル作ってきました。」
「そうですね、『一回りくらい下げちゃいましょう』かっ!ww」
「それはwww」
なんでだ・・・

なんで、この人達 【下げる事前提】で話を進めてるんだ・・・・・
解せん・・・・。
僕の 実年齢 なんて 誰も知らないはずなのに・・・
ひ・・・ひとまわりて・・・・。
人は 「夢」 をみる。
希望・・・ 憧れ・・・
こうなれたらいいな・・・・ こうだったら幸せなのにと・・・・ 人は様々な「夢」を想い描く。
そして その「夢」が「目標」に変わったとき・・・
新しい冒険が始まるのかもしれない・・・・。
この物語は・・・・
「ゲームプレイブログのTVドラマ化」
という、 前人未踏の夢に【挑戦】する・・・
ひとりのゲームブロガーと、
ひとりのプロデューサーの物語である。

「では大体この線で行きますかっ!
マイディーさんよろしいでしょうか?」
「は~い・・・。」
「楽しみですねっ!マイディーさん役っ!
誰に決まるのかなあ・・!」
「嬉しそうだねw」

「ここからは、ぴぃさんが芸能事務所に営業に行ったりするんですか?」
「いえいえw 私は直接営業には行きませんよw」
「え?じゃあ誰が?」

「実際に交渉するのは、【キャスティング会社】ですねー。」
「キャスティング会社?」
「はい。」

もうご存知だとは思いますが・・・
『芸能界』という世界は、一般の企業とは色んな所が異なります。
様々なルールや、しきたり、作法、力関係・・・そういったものが複雑に入り組んでおり、素人がここに入り込んで交渉する事はかなり困難です。
ましてやドラマ制作ともなると、複数の芸能事務所と交渉し、俳優のスケジュールを抑え、手配を行わなければなりません。
そこで登場するのが・・・・「キャスティング会社」です。

例えばTVCMを作りたいと思っている企業がタレントを起用しようと考えた場合、複雑なルールを持つ芸能界と一般企業との間に入り、芸能界との交渉事を一手に引き受けてくれるわけです。
それだけではなく、こちらがイメージを伝えるとそれにあった俳優やタレントをセレクトしてくれたり、イベント自体をプロデュースしてくれるキャスティング会社もありますね。
「なるほど・・・。いろんなお仕事があるものですね。」

「しかも今回は・・・そのキャスティング会社の1社が・・・【光のお父さん製作委員会】への参入を希望してくれてまして、すでに動いてくれています。」
「そうなんですか?」
「今日、ちょうど【製作委員会】の話もしようと思っていた所です。
現状についての おさらい と 今後の展開 についてお話しましょう。」
「お願いします。」

ここ数ヶ月、脚本のクリエイティブを進めながら、私は「製作委員会結成」に向けて出資営業を続けてきました。
企画内容、原作の内容、皆さんが作られたパイロットムービー、これらがとても受けがよく、すでに数社から製作委員会への参加の意思をもらっています。
今お話した、某キャスティング会社や某TV局・・・制作会社などなどですね。
また正式決定ではないので、名前はまだお伝えできませんが・・・
その数社からの資金で、恐らく製作資金も問題なく集まるでしょう。

「脚本作っている間に、もうそんなところまで進んでたんですかっ!?」
「ぴぃさんすごい・・・。」

「元々企画段階からみんな興味をもっていましたのでねー。パイロットや脚本を見てこれは実現できそうだと判断してくれたんでしょう。」
「いよいよ現実味を帯びてきましたねーっ」

そして各社、自社の得意分野で動き始めているのですが・・・。
・・・まだ【光のお父さん製作委員会】は正式には結成されていません。
なぜならば・・・このドラマを確実に完成させる為の
「最後のピース」がまだ埋まっていないからです・・・・。

あと1社・・・
その1社が【光のお父さん製作委員会】に参加を決定すれば・・・・
製作委員会は結成され、ドラマ化が決定します。

「それって・・・・」
「まさか・・・」
「はい・・・。」

「株式会社 スクウェア・エニックス です。」
エオルゼアパートの作成、またプロモーションにおいてもSQEXの製作委員会参入は必須です。
彼らが参入を決定すれば・・・光のお父さん製作委員会は結成され・・・ドラマ化は決定・・・。
我々は夢の達成に向け・・・大きな一歩を手に入れます。

「もし・・・断られたら・・・・。」
「重要なピースが欠けてしまいます・・・
各社、参入を見合わせるでしょうね・・・。つまり・・・」

「この話は・・・・ここでブレイクです。」
「ひいいいっ!」
「さ・・・最初に倒したはずなのに・・・・
ラスボスとして蘇るとは・・・さすがファイナルファンタジーを作った会社だ・・・。」

「でも安心してください。
最初に計画推進の承認をもらってからもずっと、SQEXに進捗は報告してきています。今まで我々が決めてきた色んなことも大筋で合意してくれてますよ。
ですのでSQEXも製作委員会には入ってくれる準備を進めてくれています。」

「よ・・よかったあw
またあのドキドキを味わわないといけないのかと思いました~w」
「ただ・・・・。」
「?」

「今回SQEX側から、製作委員会への参入にあたり、
ひとつだけ条件を出してきました。」
「条件?」
「ええ・・・マイディーさん・・・落ち着いて聞いてください・・・。」
「・・・はい。」
「マイディーさん・・・

吉田P/Dがマイディーさんとの面会を希望しています。」

「!!?」

「す・・・・す・・・・すごいじゃないですかっっ!!」
「ドラマ化する原作者と実際に顔を合わせ、意思を確認する。その確認を持って安心して製作委員会にに参入したい・・・というところなんでしょう。」
「ですが・・・・・・・。」

「マイディーさんが非対面で・・・・オンライン上だけで何事も進め・・・決して誰とも会わないというポリシーを持っている事も充分承知してます。」
「・・・・・・。」
「恐らくドラマ化に向けて色々な最終確認のときなんですよ・・・。
本当にドラマ化していいのか。マイディーさんがどれだけ本気なのか?
そういう部分をface to faceで、実際に顔を見て、話し合いたいのだと思いますよ。
FFの歴史で初めての実写が絡むドラマ化です。
少なからずともSQEX側も原作者に会いもせずにOKは出せないんですよ。」

「どうしても、吉田P/Dに会わないと駄目ですか?」
「はい・・・この条件が出ている以上、会わなければ・・・色々と流れが変わってきてしまう局面です・・・。」
「いいじゃないですかっ!会えばっ!!」
「でも・・・・それだけは・・・」
「なんでそんなに非対面にこだわるんですかーっ!」

「わかりますよ・・・マイディーさん・・・。
マイディーさんはきっと・・・・非対面を貫くことで・・・
オンラインゲームの可能性を示したい・・・・ですよね・・・。」
「!」

オンラインゲームはいろんな人がプレイしている・・・・。
その人たちに見せたいのですね・・・・。
僕達の好きなオンラインゲームは、あらゆるものをその世界の中でだけで完結し成立させる事ができる。
非対面でもこれだけ友情が育めるし・・・なんだったらTVドラマまで作れるんだぞ・・・と。
そういう可能性を・・・世の中に示したい・・・・違いますか?

「違います。」
「え?」

「マイディーさん・・・私はわかってますよ・・・。
私達に遠慮はいりません・・・。」
「あるちゃん・・・・」

「私達だってまだマイディーさんと会った事ない・・・。
この世界の家族である私達を差し置いて・・・・他の人と会うなんて!
そう思ってるんでしょ・・・・マイディーさんらしいです・・・w」

「ごめん、全然違う。」
「ええっ!? 私ちょっと恥ずかしいじゃないですかっw」
「ではなぜそこまでかたくなに・・・」

「僕は・・・旧FFXIVがβテストを行っていた時代からエオルゼアの事をブログに書き続けている。」

サービス開始当時はその出来の悪さからFFXIVはまわりから叩かれ続けた。
それはそれはひどかったよ・・・。 あんなゲームをしてる奴はどうかしてるとまで言われる始末だった。
それでも僕は、このエオルゼアが好きだったのでポジティブな記事を書き続けた・・・。
いつの日だったか・・・SQEXの前社長がFFXIVはお客様に出せる状態ではない・・・そう言った事があってね。
FFXIVを笑っていた人は、みんなそれを見て盛り上がっていたよ。

僕は悔しかった・・・
天下のSQEXが放つFFのオンラインゲームが失敗なんかされてもらったら・・・・
オンラインゲームの未来はこれからどうなるんだ!って・・・

その日から僕はあらゆる方向からエオルゼアの楽しい所、いい所を見つけ旧FFXIVのブログを書き続けた・・・
運営が諦めたこの世界を、最後の一人になるまで楽しみきってやる!って覚悟を決めた。
オンラインゲームはまだこんなにも楽しいんだ!って世間に知らしめたかった。

そんなある日、「吉田直樹」という男がこれからのFFXIVを担当すると発表された・・・・。
その頃はまだどこの誰かもわからなかった。 かわいそうに・・・後始末の担当になって・・・と思いもした。
しかし・・・彼は本気でエオルゼアをなんとかしようと・・・立ち上がった男だったんだ・・・。
その頃からだった・・・。アクセスログを見ると・・・
SQEXからのアクセスが散見されるようになったのは・・・

しかもそのアクセスは決まって真夜中だった・・・
もうみんな寝静まっているような時間だ・・・そんな時間にSQEXの誰かが僕のブログにアクセスしてくれている・・・。
僕はなんとなく・・・それが吉田さんなんじゃないかと思った。

ああ・・・この人はこんな時間まで仕事をして・・・
エオルゼアを立ち直らせようとしているんだ・・・って思った。
そしてそれが僕にとって大きな励みになったんだ・・・。
きっとこの世界は生まれ変わる・・・そう信じられた。

そしてそれから・・・FFXIVはどんどんとおもしろくなっていったんだ・・・
だから僕もブログを書くのが楽しくて仕方なかった・・・・。
夜中にあるアクセスを見る度に・・・僕も頑張らないとって思えた・・・。

それから数年が経って・・・エオルゼアは新生した。
人も増えて見違える世界になった・・・。
そして色んなイベントも行われるようになって・・・・
2年前の東京ゲームショー。

るーしーが現地で吉田さんと話す機会があったらしく・・・聞いてきてくれたんだ・・・。
吉田さんは「一撃確殺SS日記」を読んでいますか?って・・・・。
そしたらこう答えてくれたらしい・・・・。

「旧時代の頃から、ずっと読んでいますよ。
夜中の変な時間にあるSQEXからのアクセスは僕です。
みんなも読んでますよ。」
・・・・て。
やっぱりそうだったんだって、うれしかった・・・。
ブログやってきて本当に良かったって思えたよ。

吉田さんが指揮して、スタッフの皆さんが頑張って・・・世界が作られ・・・
プレイヤーである僕たちがそれを受けてブログにする・・・
それをまた吉田さんたちが読む・・・
僕は一度も吉田さんや皆さんと言葉を交わしたことは無いけど・・・・
何年も何年もそんなキャッチボールを続けてきたんだ・・・。
ずーっとね・・・。

「素敵な話ですね・・・。」
「だから・・・
僕は吉田さんとは会えないんです・・・。」

「吉田さんと会うことで・・・
ずっと続けてきた・・・
そのキャッチボールの形が変わってしまう・・・
そう思うから・・・ブロガーとして・・・会えないのですね・・・。」

「いや・・・・・」

「吉田さんに会って・・・何年も読んでもらってるのに・・・
えー!?w あのブログこんな奴が書いてたんやあw
・・・って思われたら 死ぬ程恥ずかしいからです。」




「もう・・・・」



「あ・・・・アパホテルさんですか?
28日に新宿なんですが・・・男性一名。
・・・はい・・・はい・・・。」

こうして・・・マイディーさんの上京が決まり・・・
いよいよ・・・・【光のドラマ化計画】は・・・
吉田P/Dからの最終承認をもらう為のフェーズへとコマを進めたのでした。

「それで今日はマイさんいないのですね。」
「うん・・・・乙女みたいな理由でびっくりした・・・・。」
「マイさんですし、ほんとの所はわかりませんよ・・・?」
「そうかなあ?」

「ただ・・・【光のお父さん】のドラマ化は・・・・
もうマイさんとぴぃさんだけの夢ではありません・・・・
これに携わった人みんなの夢になってます・・・・。それを実現のさせる為に、マイさんは自分の中の大事な何かを・・・また1本折ったのですよ。」
「みんなの・・・・夢か・・・。
どうか無事・・・帰ってきますように・・・・。」

「では、訪問は明日29日の15時からです。
話の流れによってはブレイクもありますので、気を抜かないように注意ですよ。」
「わかりました。」

「すべては・・・明日・・・・。」
「明日・・・・か・・・・。」

その旅は・・・・僕にとって答え合わせの旅だったのかもしれない・・・。
長いようで短かったドラマ化への道のり・・・・。
それが今・・・ドラマ化決定に向けての最終局面を迎えようとしている・・・・。

ミーティングルームで待つ・・・僕とぴぃさん・・・・。
やがてドアがゆっくりと開き・・・・初めて会うのに・・・
よくよく知っている人物が入ってきた・・・・・。
「どうも。FFXIVプロデューサー兼デレクターの吉田です。」
あの熱い夏の日・・・・僕らは吉田さんと会った。
次回、光のぴぃさん 第14話
「それはオンラインの先にある世界だった。」
おたのしみに。
- 関連記事
-
- 光のぴぃさん第15話 「それ・・・・誰が作るんです・・・か?」 (2017/02/06)
- 光のぴぃさん第14話 「それはオンラインの先にある世界だった。」 (2017/01/17)
- 光のぴぃさん第13話 「それは僕にとって決断の時だった。」 (2016/12/23)
- 光のぴぃさん関連の事 その4 (2016/12/13)
- 光のぴぃさん第12話 「それは、再び歩き出す為に必要な 頼もしい一言だった。」 (2016/12/12)