
「●▲さん・・・先日の件ですが・・・・。」
「あー、資料見ましたよ。なんか新しい試みだなとは思いました。
でも・・・ゲームでドラマを撮るっていうのがどうも現実離れしてませんか?」
「最近のゲームはほんとすごいんですよ。」
「エモートというのでお芝居するんでしたっけ?」
「はい・・・。百聞は一見にしかず、こちらをご覧ください。」

「たしかに・・・演技してますね・・・
これCGムービーじゃなくて誰かが操作して演技してるってこと?」
「そうなんです。しかも作ったのはプロではなく、このゲームで遊んでいるプレイヤーさんです。」
「・・・・・すごいな。」

「はい。でも驚くのは そこじゃないんです。」
「ん?」
「何より驚くのは・・・・
素人である彼らが・・・このパイロットムービーを・・・

わずか2時間で完成させたというところです。」
「2時間!?」

「はい・・・。●▲さん・・・これと同クオリティのCGムービーを専門の制作会社に発注した場合・・・一体どれだけの時間と金額がかかりますか・・・?」
「・・・・・・。」
「モデルを製作し、モーションを撮り、背景を起こし・・・途方も無い時間と金額がかかるでしょう・・・。しかし素人がそれを たった2時間でやってのけた。」

「彼らにプロの映像作家を監督として付け・・・プロの声優が声を付ける・・・そうすれば充分視聴に耐える まったく新しいドラマが完成すると思いませんか?」
「たしかに・・・・。」
「これが彼らの言う・・・オンラインゲームの新しい可能性です。」
「・・・・これはおもしろそうですね。」
人は 「夢」 をみる。
希望・・・ 憧れ・・・
こうなれたらいいな・・・・ こうだったら幸せなのにと・・・・ 人は様々な「夢」を想い描く。
そして その「夢」が「目標」に変わったとき・・・
新しい冒険が始まるのかもしれない・・・・。
この物語は・・・・
「ゲームプレイブログのTVドラマ化」
という、 前人未踏の夢に【挑戦】する・・・
ひとりのゲームブロガーと、
ひとりのプロデューサーの物語である。

久しぶりにマイディーさんを訪ねてやってきた訪問者・・・
それは誰もが知っている出版社・・・『講談社』からのお客様でした・・・。
しかも・・・ぴぃさんのご紹介でここに来た・・・・という事は・・・【光のお父さん】の原作本は講談社から出版されるという事なのかな・・・?とりあえず私は、事情をマイディーさんに説明し、応接室へお客様をお通しする事にした。

「は・・・始めまして・・・一撃確殺SS日記というブログをやっております、マイディーと申します。」
マイディーさん・・・ちょっと緊張してる感じですね・・・

「始めまして、私、講談社で編集をやっておりますタカダと申します。」

「講談社って・・・ViVIi出してる講談社ですよね・・・!?」
「はい。」

「なかよしの全プレに応募したら、ほんとに全員に送ってくれる講談社でしょうか?」
「ほんとに全員に送る講談社でございます。」

「こ・・・講談社って・・・あのコミックボンボンの講談社ですよねっ!?」
「はい。プラモスピリッツの講談社でございます。」

「うあああああっ!!」

【ど・・どうしよう・・・あるちゃん!せとちゃん・・・
今回の出版社は・・・
聖闘士で例えたら・・・黄金聖闘士だよっ!!】

【マイさん、気をつけてください。聖闘士ナントカ矢は、S社、もしくはA書店です。
聖闘士で例えてはいけません。】
【ええ・・・っ!?じゃ・・じゃあ・・・】

「あのっ!僕!コミックボンボン派でしたっ!!プラモ狂四郎大好きだったんです!」
.「あはは・・・ありがとうございます。【弊社】のボンボン読んでくださってたんですね。」
「はいっ!大好きでした!もういっこのよく転がりそうな名前の分厚いやつは全然読んでません!!プラモ天才エスパー太郎は読んでませんっ!!」
「ははは・・・」

「読んでません!!プラモ天才エスパー太郎は読んでません!!決っして読んでないです!なんかちょっと語呂も悪いし!プラモ天才エスパー太郎は!!
あ・・すいません、ほんとはちょと好きですプラモ天才エスパー太郎・・・でもちょっとだけで・・・
お願い殺さないで・・・。」
マ・・・マイディーさん・・・舞い上がりすぎて・・・
訳のわからない敬意の表し方に・・・

「あの・・・マイディーさん・・・プラモなんとかは置いておいて・・・ご用件を・・・」
「あ!失礼しました!ご用件をお伺いしますっっ!!」

「はい・・・実は知り合いを通しましてぴぃさんという方から、マイディーさんの書かれた【光のお父さん】の書籍化企画を頂きまして・・・」
「はい・・・。」

「なんでも今、皆さんでTVドラマ化に【挑戦】されているらしいですね・・・。ぴぃさんが熱く語ってらっしゃいましたよw」
「ええ。できるかどうかはわかりませんが、この世界の仲間たちと一緒にがんばってます。」
「いやいや、夢があってよろしいですねーっw」

「私も昔は、マイディーさん達のような 何かに【挑戦】する熱い作家さん達と一緒に仕事をしたものです・・・。私も若く作家さんと一緒になっていろんな事に【挑戦】したものですw 本当にあの頃は良い時代でした。」

「そして今回・・・ブログの【光のお父さん】も読ませて頂きました・・・・」
「はい・・・・。」

「私・・・オンラインゲームですか?これがさっぱりわかりませんでして・・・」
「は・・・い・・・。」
「私の部署は政治や経済のノンフィクションなんかを取り扱う部署でしてね・・・ゲームのノンフィクションを出した経験も無くてですね・・・・。ですのでどの形が正解かはなんとも言えない所ですが・・・
これを本にするには・・・いくつか問題点がありまして・・・」
「はい・・・。」

まず第一に【長い】です。
本のサイズは、四六判、約270ページくらいが丁度いいでしょう。
そうなると、全てのエピソードをそのまま入れ込むことが難しい。という事はいくつかのエピソードを選択して、入れなす必要がでてくる。
しかし、そうすると各話がぶつ切りになってしまい、お父さんが長い旅路の果て目的を果たしたという部分が伝わりにくくなります。

次に「写真の数」です。
これら全てをフルカラーで印刷するとなると、前頁フルカラーにしなければなりません・・・・。
そうなってくると、印刷コストが高くなり、1冊5,000円以上になってしまいます。
それではさすがに売れません・・・。
ですので、写真も減らさないといけませんね。
4ページに1枚くらいならなんとかなるでしょう。
しかし、そうすると【光のお父さん】の持ち味である漫画と小説の中間のような読み物という雰囲気は失われてしまいます。

「そしてSQEXは出版もやってます。講談社がFFの本を出した例もありません。さらに言えば・・・ブログの記事はファンの方もおられますでしょうし消せません。ということは、本を買わなくてもブログを読めば良いわけです。」
「はい・・そうなりますね・・・・。」
「今回ドラマ化を目指すにあたってしっかりとした原作として書籍が必要だという事はよくわかります・・・・。」

「ですが・・・、この【光のお父さん】を書籍化するのはあまりに障害が多く 書籍化不可能 と判断しました。」
重たい空気だった・・・・。
ドラマ化に向けて、強い原作権を持つ書籍の出版は必要不可欠であり、これができないとなると【光のお父さん】のドラマ化は更に困難になってしまう。

【光のお父さん】の持つ持ち味というか、構造的な問題が書籍化の妨げになっている・・・。
ここまでがんばって来たのに・・・・こんな根本的な問題があったなんて・・・
これではマイディーさんが・・・あまりにも・・・

「でもね、マイディーさん・・・・。」
「だからこそ・・・思ったんですよ・・・・。」


「え?」
「えっっ!?」

「ブログも最後まで読みました。ゲームのことはよくわかりませんでしたが、これはオンラインゲームを通じてこじれた親子の仲が埋まっていくという・・・立派なノンフィクションだというのはよくわかりましたよ。」

「ありがとうございますっ!」

「私も講談社で長く編集をやってきました・・・。
大作家さんの本は、極端な話私が担当しなくても売れるんです。
あなたのようなこれからの人を担当する方が・・・編集は楽しいんですよ。
私もまた昔のように熱くなりたいです。一緒に良い本にしましょう!」
「よ・・・よろしくお願いします!」

【挑戦してみたい】・・・・。
タカダさんのその言葉を聞いた時、私はぴぃさんと同じ意気込みを感じました。
何かを作るのは挑戦の連続・・・何かに挑むその気持ちが無ければ、きっと良いものは作れないんだろうな・・・。
タカダさんはその気持ちを持ってくれている・・・だからこそぴぃさんがこの人に企画を持ち込んでくれたのかもしれない・・・。

「今回一番の難所と思われる部分、弊社からFFの本を出すというのは・・・・
ぴぃさんがSQEXと交渉し、14チームが社内で調整してくれたそうですよ。」

「ぴぃさんおとこまえっ!!」
「SQEXもおとこまえ。」

「マイディーさんすごいですねっ!皆さんの気持ちが少しずつ・・・集まってきたんですね。私も私にできる事がんばりますっ!」
「私に・・・できること・・・。」

「ではまず・・・どの話をカットするかから考えましょうか。私が思うのは・・・・」

「タカダさん・・・。そういうのは・・・しません。」

「ん?でも構成考えないとすごいページ数になりますよ。」
「270ページですよね・・・」
「まあそれくらいが理想かと思いますが・・・」

「今回のドラマ化に向けて・・・いろんな人がいろんな事に【挑戦】してくれています。」

「誰だって楽な方が良い。
難しいことは考えたくないし、逃げたくなる。
でも、本当に楽しく笑う為には踏ん張って頑張らなきゃいけない時だってある。」

「きっとみんなそれを知ってるんです。だから僕も・・・、僕にも【挑戦】させて下さい。」
「挑戦・・・・」

【光のお父さん】の構成を再度見直して・・・・
きっちり270ページになるよう・・・書籍用に・・・


そうすればきっと、一度ブログを読んだ人も楽しめるし・・・もっとオンラインゲームを知らない人にもわかりやすくする事ができると思うんです。

文字は横書きで、SSは単色でもかまいません。 必要な箇所は撮りなおします。
本文中によく使った間を演出する長い行間の演出も・・・ページのめくりをうまく利用すれば再現できると思います。
そうすれば、予算的にも 構成的にもブログの持ち味をそのまま伝える事ができると思います。

それが僕の・・・【挑戦】ですっ!!

「同じ物語を再度書き直し、書き下ろす・・・ですか・・・。
いい【挑戦】ですね・・・・。本当に編集の仕事はおもしろい・・・。
おもしろそうです・・・書き方は私が教えます。」

「一緒に良い本・・・作りましょう。」

マイディーさんはこの日からハウスに閉じこもり、執筆を開始。
これが問題なく完成すれば、講談社から発売される事になり、ドラマ化された際はこの書籍が原作となる。
問題なく・・・完成すれば・・・・。

「しかし、すごい大風呂敷広げちゃいましたね・・・大丈夫ですか?」
「うーん、さすがにそれは無理かなと思ったけど、やるしかないって思ったんだよ。」
「でも・・・」

「『誰だって楽な方が良い。難しいことは考えたくないし、逃げたくなる。
でも、本当に楽しく笑う為には踏ん張って頑張らなきゃいけない時だってある。』
・・・って・・・ちょっとカッコ良かったねってちなみちゃんと言ってたんですよw」
「ははは・・・。」
「ジーンときましたw」
「そりゃそうだよ・・・w」

「スマイルプリキュア!
第31話『ロイヤルロックとキャンディの秘密!!』
・・・で、キュアハッピーが言った台詞だからね。」
「ぷ・・・ぷりきゅ・・・ち・・ちなみちゃん・・・
ま・・まさかのプリキュア語録でしたよ・・・。」

「問題ありません。プリキュアの本も講談社です。」
「あ・・はい。」
いろんな人に背中を押され、勇気をもらい・・・。
「光のドラマ化計画」は少しずつですが、着実に進んでいくのでした。

じょびハウスで原作本の執筆に大忙しのマイディーさん。
そこにぴぃさんが、お客様を連れてやってきた。
「クリエイティブ方面をそろそろ進めていきます。脚本家を連れてきました。」
え!?それって!TVドラマ【光のお父さん】の脚本を担当する人!?

「え?そのままではドラマになんかできませんよw」
そう言って脚本家さんが持ってきた脚本・・・。
それは・・・まったく見たことが無いストーリーだった。
次回、光のぴぃさん第11話
「それは、【光のお父さん】ですか?」
おたのしみに。
つづく。
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