
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

あれからどれくらい時が経ったのだろう・・・・。実際には1秒か2秒だったんだと思う。
それはいきなりすぎて・・・予想外すぎて・・・途方も無さ過ぎて・・・・私の聞き間違いかなとも思いました・・・。

マイディーさんはパーティチャットで私に確認をしてきた・・・・。
【今・・・ドラマ化って言ったよね・・・この人・・・・】
【はい・・・光のお父さんをTVドラマにしたいって・・・おっしゃいましたね。】
私も口に出して初めて理解できた・・・・この人が言った事・・・この人が今日ここに来た理由を・・・理解できた。

このぴぃさんと名乗るルガディンさんは、マイディーさんの書いた【光のお父さん】をTVドラマにしたくて、今日ここに来たんだ。

「しょ・・・・正気ですか!?」

「もちろん。」

「オンラインゲームブログのテ・・・TVドラマ化・・・」
この時、私もマイディーさんも、ぴぃさんの途方も無い一言になんと返せば良いのかわからなかった・・・。
応接室にはこんな時でもマイペースに時を刻む時計の針の音がカチコチと・・・・。
人は 「夢」 をみる。
希望・・・ 憧れ・・・
こうなれたらいいな・・・・ こうだったら幸せなのに・・・・ 人は様々な「夢」を想い描く。
そしてその「夢」が「目標」に変わったとき・・・
新しい冒険が始まるのかもしれない・・・・。
この物語は・・・・
「ゲームプレイブログのTVドラマ化」 という、前人未踏の夢に【挑戦】する・・・
ひとりのゲームブロガーと、
ひとりのプロデューサーの物語である。

ドラマなんだ・・・アニメや漫画じゃなく・・・ドラマなんだ・・・・
ドラマって事は何か? あれか?
誰かがマイディー役を演じたりするのか?
たとえば・・・ゴマキがやったりとか・・・そういうのか??

え? ちょっと待って。
漫画家と声優って 結婚したりするよね・・・・?
てことはつまり、僕がゴマキと結婚するっていう可能性も視野に入れておけって事か・・・。
え? それってなんか 自キャラと結婚する って事ですかっ??
なんかちょっと恥ずかしいというか・・・ちょっと世界初の試みすぎて・・・・想像ができないぞ・・・・
え?え?え? ちょとまってちょとまってちょっとまって!!
なんて呼ぶの?? 僕は結婚したら相手をなんて呼べばいいのさっ!ww
やっぱり「マイディーさん」って呼ぶの?www
じゃあ相手は僕の事をなんて呼ぶのよww やっぱ「マイディーさん」?ww 互いに?Www
おかしーやろそれっ!おかしーやろそれっっ!!ww
本名で呼べばええんちゃうんww そこはさ・・・ww だって夫婦なんだから・・・・w
い・・・いやいやいやいや・・・!!
何を馬鹿な事考えてるんだっ!! 冷静になれ自分っ!!
・・・・・そんな事よりもっ!!!

まだゴマキが僕の事を好きって決まったわけじゃないっ!!
それに彼女は結婚しているじゃないかっ!!
つまりこれは間違いなく不倫だ・・・人の道を踏み外した行いだ・・・・!!
だいたい僕はゴマキの事が本当に好きなのか?流されてるだけじゃないのか・・・?
誰かを不幸にしてまでも進むべき道なのかっ!!
不倫いくないっ!不倫いくないっっ!!!

【マイディーさん・・・大丈夫ですか?】
【大丈夫、目が覚めた。
危うく不倫する所だったよ・・・。】
【・・・・??】

「まあいきなり過ぎて驚かれたと思います、もう少し私自身の話をしましょう。」

私は今の仕事につく前・・・10年ほど映画の世界にいたんです。
そこで沢山の映画やドラマにかかわって来ました。
老舗の映画会社で編成部長をしていた事もあります。
本当にいろんな事がありました・・・ありすぎました・・・。
疲れきった私は、そんな映画業界に背を向け・・・今のゲーム業界で働くようになったんです。

【光のお父さん】を知ったのは、弊社の社内掲示板でした。
読み進めるうちに・・・マイディーさんのお父さんが新しい事に向かって真摯に挑戦する姿に心を打たれ始め・・・
もう忘れようと思っていた自分の中にある夢が膨らんできました。
この「原作」のドラマ化をプロデュースしたい!
一度は捨てたプロデューサーの道を・・・この原作と供にもう一度だけ・・・歩んでみたい。
そう思って・・・即座にPS4を購入し・・・こちらへやってきた次第です・・・。

「ドラマっていうと、月9とかのドラマですよねっ!? すごい!」

「いえ・・・狙っているのはそういったプライムタイムのドラマではなく・・・いわゆる【深夜ドラマ】です。」
「深夜ドラマ・・・。勇者ナントカみたいな・・・」

「そうです!では少し・・・
TVドラマの構造からご説明しましょう。」

まずTVの放送枠には・・・「プライムタイム」と呼ばれる時間帯があります。
時間で言うと19:00~23:00の時間帯・・・「ゴールデンタイム」とも言いますね。
この時間帯はTVを見る人も多いため、各TV局は看板番組を並べます。
もちろんこのプライムタイムに流れる連続ドラマも人気のあるコンテンツです。
しかし各TV局が看板番組を掲げてきますので・・・もちろん競争も激しい・・・。

なので、この「プライムタイム」のドラマは、TV局が主導で製作を行います。
まずは出資してくれるスポンサーと相談し、主役になるスターを選ぶ。そしてその次にそのスターにあった「原作」を探す。・・・もしくは「作る」。
そしてTV局自体がドラマを制作し、その権利も所有するのが一般的です・・・。
もちろん多くの人に見てもらう事が目的で作られますので、視聴率がとても重要になってくるわけですから、原作にも知名度が必要でしょう。
それだけではなく、芸能事務所やスポンサーの顔色をうかがったりと、様々な制約の中作られるのが月9等のプライムタイムに放送されるTVドラマです。

「なるほど・・・まずはスターありきなんですね。」
「そうなんですっ!」

「しかし23時からは、
その仕組みがガラッと変わります。」
「!」

実は・・・23時以降のTVの視聴率は・・・TV局にとってあまり重要ではないんです・・・・。
なぜならば・・・

その 放送枠 自体をTV局が 販売 しているからなんです。

「わ・・・枠を売ってるんですかっ!?」
「そうです。あるさんもお金を出してその枠を買いさえすれば、好きな番組が放送できるんです。」
「そんな仕組みになってるんですね・・・。」

もちろん公共放送なので、ある程度の審査や枠の方向性はありますが、
番組の中身は、枠を買った人達が自由に決めることが出来るわけです。
最近の深夜アニメや深夜ドラマは、この構造で作られているのがほとんどです。
「なるほど・・・だから今回は 深夜ドラマ を狙うんですね。」
「そのとおりです。」

「お話はわかりましたが、売ってるといっても安い物ではないでしょう・・・そんなお金 誰が出すんです?僕、そんなお金無いですよ?」

「はい。実は今日はその件でお願いに参りました。マイディーさん!どうか、私に【光のお父さん】ドラマ化への出資者を募っても良いという許可をください!

一度は背を向けた世界ですが・・・【光のお父さん】を読み・・・もう一度チャレンジしたいという気持ちになりました・・・。
もし、マイディーさんが「やってみれば?」というのであれば、具体的な放送枠や事業パートナー、キャスト、スタッフ案を詰めた上で、SQEXさんに許可を取りに行きたいと思っています。このハードルは高いと思います。

ですがっ!!
きっと良いドラマが作れると思っています!
どれだけ実現出来るかわかりませんが、挑戦してみたいのです!!
お願いしますっ!!

そうか・・・

ぴぃさんが他の業者の人と違って感じたのは・・・この想いの大きさだったんだ・・・。
自分が背を向けた世界にもう一度向き合い、進もうとする・・・そんな強い勇気と覚悟があったからなんだ・・・・。

マイディーさん・・・・。

「なるほど・・・。」

「ぴぃさんの挑戦・・・
よくわかりました。断る理由はありません。よろしくお願いします。」
「おおっ!」
「おおーっ!」
「ただし!ひとつだけ条件がありますっ!!」
「!?」

僕はこのエオルゼアができたその日から 6年間・・・この世界の素晴らしさを発信してきたつもりですっ!!それは僕自身の誇りです!
エオルゼアという世界を通し、もっと多くの人にオンラインゲームという世界の可能性を伝える・・・それが僕の【夢】です!」
「はい・・・。」

「なのでもし・・・【光のお父さん】がドラマになったとして・・・
誰かがそこに登場するエオルゼアを見て・・・
がっかりされる事だけは我慢なりません・・・・。
僕だけじゃない・・・この世界にいる誰もが思うでしょう。
FF14を良くわかってない人に・・・
この世界のドラマを作ってほしくないと!!
ぴぃさん・・・

大迷宮に挑み、【ツインタニア】を倒してください!
父と同じように、この世界を冒険し、いろんな人と触れ合い、まずはこのエオルゼアを知ってください。
本気でやらないと・・・それは絶対に視聴者に伝わってしまうと思うんです。
もちろん我々FC:じょびネッツアがサポートさせていただきます!!
なーに・・・簡単ですっ!!
我々はちょっとワケあって 齢60を超す光の戦士を育てたFCですからねっ!!」

ままままま・・・・マイディーさんっ!!たしかにそうですけどーっ!!
ま・・・またあれをやるんですかああああ・・・・。

「わかりました。もとよりそのつもりでした。
その条件、OKです。よろしくお願いします、原作者様。」

「よろしくお願いします!プロデューサー様。」
突如沸いた【光のお父さん】のTVドラマ化の依頼・・・。

2015年11月19日・・・FC:じょびネッツアはこれを承認。
かくして、「光のドラマ化計画」はスタートした。

「ごめんね、あるちゃん・・・また騒がしくなるね。」

「大丈夫ですよ・・・みんなも一緒にがんばります。
だってこの「夢」は・・・

マイディーさんがずっと見てきた【夢】でもあるんでしょう?」
ゲームプレイブログのドラマ化・・・そんな夢のような話・・・本当に実現するんだろうか・・・普通ならそう思う。
でも私は、不思議とこの時・・・そうは思わなかった・・・。

それはきっと、ぴぃさんを見送った時に見た 山のように大きな背中が、とても頼もしかったからだと思う。

ついに始動した「光のドラマ化計画」。
しかし・・・この計画の最初にして最大の壁がある・・・それは・・・

「ドラマ化するにはもちろん、SQEXの承認が必要になります・・・。」
「いきなり ラスボス ですかっ!?」
そう・・・・これは誰がどうみても・・・・無理ゲーでした・・・・。
しかし・・・それをクリアする為にぴぃさんがある作戦を打ち出したのです・・・。
次回、光のぴぃさん第6話
「それは最初にして最大最強の壁だった。」
おたのしみに。
つづく。
- 関連記事
-
- 光のぴぃさん第6話 「それは最初にして最大最強の壁だった。」 (2016/09/12)
- 光のぴぃさん関連の事 その1 (2016/09/03)
- 光のぴぃさん第5話 「それは当然の試練であると思った。」 (2016/08/29)
- 光のぴぃさん第4話 「それを聞いた時、僕は呆然とするしかなかった。」 (2016/06/30)
- 光のぴぃさん第3話 「それはそうだろう。当然そうなるだろう。」 (2016/05/28)