そう・・・あれは2015年 秋のこと・・・

「どうしてこんな目にばっかりあうんだっ!!」

あの日・・・マイディーさんはそう言って崩れ落ちた・・・。
私もかけてあげる言葉が思い浮かばなかった。

それは「光のお父さん」計画は完遂したものの・・・連載が止まっていたあの頃のお話。
マイディーさんは「書けない」と言っていたけれど・・・・
本当はもう「書きたくなかった」のかもしれない。

あの時、私は足早に走り去るあの人の背中を見ながら・・・なんとなくそう思ったのです。

人は 「夢」 をみる。
希望・・・ 憧れ・・・
こうなれたらいいな・・・・ こうだったら幸せなのに・・・・ 人は様々な「夢」を想い描く。
そしてその「夢」が「目標」に変わったとき・・・
新しい冒険が始まるのかもしれない・・・・。

なぜ、マイディーさんがこんなに苦しんでいるのか・・・それを語るためにもう少し時間をさかのぼる・・・
光のお父さんの書籍化の話が破綻してそんなに時間はたっていないあの頃・・・

2015年お10月9日・・・。
私が庭具の位置変えをしている所に・・・あの人がやってきたのだ。

「あの~・・・・ここは じょびネッツアですか・・・?」
「はい・・・そうですよー、誰かに御用時ですか?」

「マイディーさんに少しお話がありましてっ!」
わー・・・なんかかわいらしい人だな・・・。マイディーさんのお友達かな?
「お取次ぎしますね、失礼ですがどちらさまでしょうか?」
「あっ♪ わたくし・・・

ゆるふわ出版のモモゾノと申しますっ♪」
出版社!!ま・・・まただ・・・また「光のお父さん」の出版の話かな??
「わ・・・わかりました!少々お待ちください!」
今度はしっかりした人っぽいから・・・ひょっとするとひょっとするっ!!

「マイディーさん、出版社の方がお見えですよ、お通ししていいですか?」
「えー・・・またぁ?」
「え・・・?なんでめんどくさそうなんですかっ!」

「もうなんかその手の話はいいよぅ・・・」
「今回はきっと大丈夫ですよっ!本になるなんてすごいじゃないですかっ!」
「また前みたいな話だと、はらたつし・・・」

「ゆるふわ出版!ググってみたら、ちゃんと現存する会社でした!
ゲームの本とかも出してるんですよっ!」
「そうなの・・・、なんか熱心だね・・・。」
「だって本とかになったらすごいじゃないですか!
本を読んで、たくさんの人がオンラインゲームの楽しさに目覚めるかもしれませんよっ!」
「まあ・・・たしかに・・・話だけでも聞いてみようか・・・」

ゆるふわ出版モモゾノさんのお話は、やっぱり「光のお父さん」書籍化の話だった。
モモゾノさんは、光のお父さんを読んで、今の時代の親子のドラマとして注目しているとマイディーさんに一生懸命語っていた。

その姿はとても熱心で・・・そして具体的。
気がついたら、マイディーさんもモモゾノさんの話を興味深く聞いていた。

「頁数は、240ページの4色刷り、判型はA5(カバー装)・・・
価格は1,600円で想定しています!」
「240ページ・・・足りますかね・・・。」
「ある程度は編集が必要でしょうね・・・。」
「なるほど・・・横書きですか?」
「そうなりますねー。」

「240ページかあ・・・結構削らないといけないですね・・・」
「あ・・・すいません本編は200ページほどですね!」

「え!?じゃあ残り40ページは何を・・・?」
「良くぞ聞いてくれましたぁ・・・・!それが今回の目玉!」

「グラビア企画ですっ!!」

「グラビアっ!?」
「ぐらびあっ!!」

「み・・・水着とかの!?」
「水着とかの。」

「色っぽい感じの??」
「色っぽい感じの。」

「いやいや・・・!親子のドラマがメインでしょっ!?
アイドルとかならまだしも・・・ゲームキャラのグラビアですよっ!?」

「FF14のキャラは魅力的だとおもうのです・・・それに・・・今は本が売れない時代!!
少しでも売るためにはどこもやってないような奇抜なアイデアが必要なのですよっ!!」
「いや・・・そうかも知れませんけど・・・・!!」

「たしかにモモゾノさんの話にも一理ありますよ。FF14はSS加工なんかも盛んですし、そういうアプローチもいいかもしれないです。」
「まあそうだけど・・・グラビアって・・・」
「なんか他に案あります・・・?」
「本が売れるための案っ・・・・!!」

「巻頭に富野版Gガンダム(書き下ろし)を付ける!!」
「もうそれ、なんの本かわからないですよ・・・」

「それでは週明けに企画書持ってきますので、ご一考下さいませっ♪」
「はい・・・わかりました・・・。」

「オンラインゲームの楽しさをたくさんの人に伝えたい。そんなマイディーさんの夢をお手伝いするのが、私のお仕事です♪よろしくおねがいしますっ!」
そう言って、モモゾノさんは去っていった。
そしてその熱意に押され、どうやらマイディーさんもオンラインゲームの楽しさをたくさんの人に伝えるため、文字通り一肌脱ぎ、グラビア撮影、頑張る決意を固めたようです。

「こうなったら特訓だっ!!!」
そしてこの日から、マイディーさんのグラビア撮影に向けての特訓が始まったのです。
きっとあれです・・・「特訓」とか言ってテンションを上げて何かを吹っ切るマイディーさんらしい作戦です・・・。

「こうかな?」
「いいですねーっ!」

「これがネコっぽいかな!?」
「いいですねーっ!」

「どうっ!?」
「いいですねーっ」
「どう?」
「いいですねーっ」
「どうっ!?」
「いいですねーっ」
「どうっ!」
「いいですねー」
・・・・・
・・・・
・・
・
「あるちゃん・・・」
「はい・・・・」

「良く考えたらさ・・・いくら特訓してもエモの動きって変わらないし・・・
特訓って意味無くない?」
「あ、それ言っちゃいましたか・・・・。」
「・・・・・・・・。」

「でもほらっ!気持ちが!気持ちが入ってきましたよっ」
「そ・・・そうかな・・・!」
こうして・・・効果があるのか無いのかよくわからないグラビアの特訓で週末を過ごし・・・・・

そして翌週・・・
モモゾノさんが「光のお父さん」書籍化の企画書を持って再びやってきたのです!!

「色々考えたんですが・・・グラビアも悪くないなって気になってきました。」
「でしょーっ!絶対素敵ですよーっ♪」

「マイディーさんもなんだかんだ言ってやる気でてきたみたいですよ?w」
「ほんとですかーっ♪私も頑張って休み無しで企画書作ってきました!見てくださいーっ!」
そして私たちは、モモゾノさん渾身の光のお父さん書籍化の企画書を見せてもらった。
普通に始まる企画書・・・当たり障りの無い普通の企画書・・・・
でも・・・その中の1文だけが異様な 黒光 を放っていたんです・・・。
「・・・・!?」

え・・・・えええーっ!?
これ・・・ええええーーっ!?

マイディーさん固まってるっ!!
そりゃ・・・これ・・・・えええーっ!?
まずいっ!マイディーさんの思考が停止しかかっているっ!!
いやむしろ・・・自分から完全に停止させようとしているっ!!
それって・・・・この部分ですよねっ!!
この部分がそうさせてるんですよねーっ!?
【書籍企画】 記:モモゾノ♪
著:マイディー
『光のお父さん -いまどき親子のオンライン親孝行♪-』
■発売日:未定 ■定価:1600円(予定) ■ 希望部数:8000(予定)
■判型:A5(カバー装) ■頁数240(4色)
■ 企画趣旨
「ファイナルファンタジー」をはじめとするオンラインゲームや玩具を中心としたブログ「一撃確殺SS日記」。
その中に「光のお父さん」という人気連載コーナーがあり。
この物語は息子が自分の正体を隠し、60歳を超える父親と一緒にオンラインゲームを旅し、ゲームをクリアした時に息子である事を打ち明けるという壮大な親孝行である。
今回、この「光のお父さん」を、オンラインゲームに興味を持っている層に向け書籍化し販売する。
■ 構成
① 巻頭:光のお父さんsexyグラビア (SS撮影:マイディー)
・読者に大人気のお父さんのセクシーな写真集(水着など)
・実の父のセクシー写真を息子が撮影
② 光のお父さん旅に出る編
③ 光のお父さん戦う編
④ 光のお父さんふれあい編
⑤ 光のお父さん最後の戦い編
⑥ 光のお父さんからメッセージ♪



「この奇抜な企画で出版業界に革命を起こしましょう。」
なんの革命ーーーっ!?!?
奇抜どころか、新しい価値観を作り出そうとしてるよっこの人ーっ!
でもちょっと・・・見る側としては・・・怖いもの見たさっていうか・・・たしかに気になるけど・・・・
マイディーさん的には・・・心血注いで頑張ってきた事をこんな形にされるのは・・・納得いかないんだろうなあ・・・・。

「これは・・・誰も得しないでしょう・・・」
マイディーさんはそうつぶやいた後・・・
モモゾノさんが帰るまで、一言もしゃべらなかった。
それでも、モモゾノさんは最後までとても熱心に書籍化に向けての熱い気持ちを語っていたのをよく覚えている。

「そんな気持ちでブログを書いてきたんじゃないっ!!」
そんなマイディーさんの叫びもむなしく・・・思わぬ方向へと進む光のお父さん書籍化の話。
そして最後に待ち受ける大どんでん返し。
深く傷つき倒れるマイディーさん。

時を同じくしてその頃、一人のルガディンがそんなマイディーさんの元を訪れようとしていた。
次回、光のぴぃさん第三話
「マイディーさん・・・お客様です・・・お通しますか?」
お楽しみに。
つづく。
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