
子供のころ、父が僕に手品を見せてくれた。
父は、僕が選んだトランプのカードを見事に言い当てるのだ。
何回やっても的確に僕が選んだカードをいい当てる。
父は大人だから僕達子供には無いすごい力があるんだろうと思って憧れの目で見ていたように思う。
ある日、僕はどうしてもその手品のタネが知りたくてなって 父に教えてくれとせがんだ。
あまりにもしつこかったからか、父は渋々その手品のタネを教えてくれた。
なんてことはない手品のタネ・・・・。
教えてもらったとおりやってみると、僕にも同じ事ができてしまった。
僕はとてつもない秘密を知ってしまった気になり父を見た。
父はもうTVを見ていた。
いつもとなんら変わりの無い父の横顔。
それを見た僕はなぜだかとても申し訳ない気持ちで胸が痛くなり、泣いてしまいそうになったのを今でもよく覚えている。
僕は、あの時 手品のタネを聞くべきではなかった。

光のお父さん計画・・・・。
それは、60歳を超えるゲーム好きの父にFF14をプレイしてもらい、自分は正体を隠してフレンド登録。
共に冒険を続け、いつの日か自分が実の息子である事を打ち明けるという壮大な親孝行計画である。
ロールプレイングゲームを触った事が無い父がエオルゼアに降り立ち、半年が過ぎた。
最初はろくにチャットが出来なかった父も冗談を飛ばすようになり、弓の腕も格段に上がっていた。
そんな父と共に目指した、大迷宮5層。
僕たちはついにたどり着いたんだ。
光のお父さん計画最終目的地、大迷宮バハムート邂逅編 第5層。
そこに待ち受けるは・・・大迷宮邂逅編 最終ボス・・・

ツインタニア・・・!!
この禍々しい竜の攻撃は多彩かつ高威力。
下限レベルの挑戦であれば一発食らえばタンク以外は即死する事もある。

そしてその多彩な攻撃 ひとつひとつに攻略法が存在する。
予習無しで挑む場合は、それら全ての対処法を発見し、克服していかないといけない。
初見メンバーは一応アイテムレベル制限を設けていないので火力はでるが、それでも狙われたらひとたまりも無い。
今まで戦ってきたボスとは比べ物にならない強烈な難易度を誇っていた。

ツインタニアは自分の体力が減ってくると 攻撃方法 を変えてくる。
それが全部で5フェーズもあるのだ。
① ツインタニアHP100% ワイバーン
② ツインタニアHP80% ファイアボール・ファイアストーム
③ ツインタニアHP50% ダイブボム+蛇
・エーテリックプロフュージョン
④ ツインタニアHP50% ツイスター
⑤ ツインタニアHP30% 5連リキッド+魔力爆散

そして恐ろしいのは、そのフェーズのひとつひとつが、今までの大迷宮に匹敵する難易度なのだ。
つまりツインタニアを倒すには連続して5つの階層をクリアする技術とチームワークが必要になる。
しかもツインタニアは最強の技を持っている。

それが「13分目のエーテリックプロフュージョン。」だ。
戦闘開始後13分が経過すると、2回目のエーテリックプロフュージョンが放たれる。
これが放たれると全員即死。
すなわち・・・13分以内に全5フェーズをクリアしなくてはならない。

タンクが倒れると、ツインタニアが暴れだし全滅。
DPSが倒れると、火力が足らなくなり全滅。
ヒーラーが倒れると、回復が足らず全滅。
1人が倒れると、そこから総崩れをおこし全滅する。
1人が失敗してしまうと、全員が失敗したことになる。
そう。 これだ・・・。
こいつなんだ・・・。
こいつがまさに・・・・

FF14が「大縄跳び」と呼ばれる原因。
実装当時、大迷宮に挑んだフリーカンパニーや固定パーティーは、崩壊する。という噂が流れた。
仮に自分だけが連続4回死んでしまったら。自分の責任で4回クリアできなかったと思うだろう。
「どんまい」「気にするな」・・・・・。本当にそう思って仲間に声をかけても・・・もう届かなくなってくる。
光のお父さんがガルーダ戦で垣間見た・・・・ギスギスした空気。その何倍もの重圧。
それがエオルゼアに住む人達の繋がりを腐食し断ち切ってきた・・・・。
それが「ツインタニア」という存在だ。

お父さん・・・・僕はこの戦いが終わったらひとつの決断をしなければならない。
自分が貴方の息子であることを・・・打ち明けるのか・・・打ち明けないのか・・・。
それは・・・・まだ決まってない。
でもきっと・・・ツインタニアを倒した時・・・僕には何か見えると思うんだ・・・・お父さん・・・。
だから・・・全力で戦いましょう・・・。
全ては・・・この戦いが終わったら・・・わかるはずだ!!
行こう・・・・。
マイディー 「きりんセット!!」
さあ・・・始めようか・・・地獄の5層!

マイディー 「ゴー!!」
きりんちゃん 「にゃんにゃんぷ~♪」
きりんちゃんのテンションも高い!!

あとはこのツインタニアを倒すだけっ・・・!!

このツインタニアを倒すだけっ・・・・!!!

ツインタニアを・・・

このツインタニアを・・・!!

倒すだけっ・・・!!

ツインタニア

このツインタニアをっ・・・!!

このたに

たお・・・・

このツインタニアをっ・・・!!

たお

ついんたに

たお・・・・

ツインタニアを・・・・

たおす

つい・・・・・

たお・・・・・・・・・・

・・・・

・・
ツインタニアを・・・・
倒すだ
け
おかしい・・・
初挑戦のあの日から・・・もうかなりの時間が過ぎている・・・。
マイディー 「きりんちゃん、今日の晩御飯何だった?」
なんかもう・・・負け続けて緊張感が薄れてきている・・・・。

きりんちゃん 「アイスですね~♪」
マイディー 「アイスかーw あ、そろそろ 今日も終わりの時間だね・・・」
きりんちゃん 「きりんは電池切れで~おやすみなさい~」
なんか・・・やばい感じだ・・・・。

どーなってんだこれ・・・・。

初突入の日から・・・もう 「3ヶ月」もたっちまったっ!!
毎週毎週誰かが大縄跳びにひっかかる。
ここまで強かったか!ツインタニアっ!
週に一度の挑戦ではあるが、3ヶ月も時間がたつとさすがに精神的疲労は大きかった。
ツインタニアを倒すという執念も曇りはじめ・・・緊張感も薄れていく・・・・。
攻略自体は進んでいる・・・。 誰か一人が特別大縄跳びに引っかかるわけではない。

しかし、一つ一つのギミックにつまづきき、つまづくたびに攻略法を考え、練習して超えていく日々。
この方法を取る限り、時間がかかるのは想定していたけど・・・ここまでかかってしまうとは・・・。
誤算だった・・・。
3ヶ月たった今、やっとフェーズ4にたどり着けた・・・・。
だが・・・ここからツイスターになれていくにはまだまだ時間がかかるだろう・・・・・。
1ヶ月か・・・2ヶ月か・・・。

「父に自分の正体を打ち明けるか、打ち明けないかを決める運命の日が今日かもしれない・・・・」
そんな緊張感を背負って飛ぶ大縄跳びがこんなにもきついとは・・・・
このままあと何ヶ月も・・・・闘うのか・・・・。
みんなの精神的疲労も心配だ・・・。
このまま大縄跳びを飛び続け、みんなの心がバラバラなってしまったら・・・僕はどう責任を取ればいいんだろう。

光のお父さん計画は・・・親孝行しようと思って始めたんだった。
一緒に冒険した仲間が実は息子でした!
映画が好きな父に・・・普通では体験できないような・・・・そんな映画みたいな体験をしてほしい。
もう充分なんじゃないか?
毎日こんなに楽しそうにFF14で遊んでる父。
新しい趣味をプレゼントできたんだ・・・それだけで充分親孝行できたんじゃないのか?
もうこれ以上大縄跳びにみんなを巻き込まない方がいいんじゃないのかな。

もうまもなくすれば、FF14初の拡張ディスク「蒼天のイシュガルド」が発売される・・・。
そうなれば、もうみんな忙しくなる・・・。レべリング・・・・。新しいストーリー・・・みんなそれに集中したくなるだろう・・・。
そろそろ「妥協」してもいいのかもしれない・・・・。
クリア組がヒントを出すか・・・アイテムレベルを上げるか・・・・、その辺が落としどころになるのかもしれない・・・。
僕にそんな迷いが出始めたころ・・・
とても大きな「うねり」の様なものがやってきた。
きりんちゃん 「まいでぃ~さん・・・お話があります。」

マイディー 「なにかな?」
きりんちゃん 「きりん 引越しの関係で、来週から1ヶ月くらいネットに繋げなくなるよ~」
マイディー 「!?」
きりんちゃん 「だから誰かと交代しないと~」
マイディー 「んー?? 交代って言って・・・も・・・

!!
・・・・・・・・きた。

これだ・・・・。

来たっ・・・・・!!これで勝てるっ・・・・!
みんな・・・僕らは手に入れた・・・ 手に入れたぞ・・・!
ツインタニアを倒すための・・・「最後の武器」を!!
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