
「光のお父さんを読んでFF14を始めました!」
この頃、そういうお声をたくさん頂けるようになっていた。
PS3とPS4の無料トライアルも始まり、エオルゼアには若葉マークの人達が増え、クエスト報酬で貰える初々しい原色の装備を着て西へ東へと走り回っている姿をよく目にするようになってきた。
マイディーがマスターを勤める「FC:じょび」ではそんな初心者さんの最初の壁になるであろう「サスタシャ浸食洞」前に立ち、やってくる初心者さんに声をかけ、初ダンジョン進行の手順を教える支援を行っていた。

僕たちがFC:じょびが初心者支援を行っていく中で気をつけていたのは、略語・専門用語は使わないこと。
例えば・・・
「CFだと ヒラ は シャキりやすいからね。」
エオルゼアに長く住んでいる人は、こう言われたとしても 「そうだね。」 と返せるがような日常の台詞だけど
「CF」、「ヒラ」、「シャキる」なんて言葉は一般の人には通じない。
そんな一般的ではない言葉を使って説明されると初心者さんは
「意味がわからない」→「むずかしそう」→「やめよう。」と思ってしまうかも知れない。
だから難しい専門用語は使わない方がいい、できるだけわかりやすい一般的な言葉で教えてあげるのが一番いい。
ではどこまでが専門用語で、どこまでが一般的な言葉なのか・・・それは人によって異なってくると思う。
でもいるんです。・・・エオルゼアにも・・・。

FF14で初めて「ファンタジー世界」に触れる人が・・・・。
魔法と手品の違いがわからない人も・・・いたりするんだ・・・・うちに・・・。

光のお父さん計画・・・・。
それは、60歳を越えるゲーム好きの父にFF14をプレイしてもらい、自分は正体を隠してフレンド登録。
共に冒険を続け、いつの日か自分が実の息子である事を打ち明けるという壮大な親孝行計画である。
最大級の感動を求め、大迷宮邂逅編5層の突破を目指す光のお父さんと仲間たち。
1層では「沈黙」と「スライム運搬」をこなし、2層では「アラガンロット」も攻略・・
大迷宮最大の謎とされる3層に挑むが、あまりの意味のわからなさに「出荷」されてしまう。
そして迎えた第4層。
ここを越えればいよいよ・・・・光のお父さん計画最終ステージ・・・5層へとたどり着く。

「大迷宮邂逅編4層」
ここは1体の大きなボスと戦うステージではなく、下降するエレベーターの中で次から次へと出現する「やや強め」の雑魚を効率良く倒していくことでクリアができるというステージだ。
敵を殲滅するスピードが遅ければ次々と敵が出現し続けあっという間に敵に溺れ全滅してしまう。
次々と出現する敵をいかに効率良く、スピーディーに殲滅するか。
それが突破の鍵になる。

吟遊詩人の歌う「詩」・・・邂逅編4層クリアの鍵はそこにある。
お父さん・・・「詩」のスキルに関する知識はまだ曖昧だ。
できればここで完璧に歌いこなせるようになってほしい。
エレベーターのスイッチが入りゆっくりと下降を始める・・・。

カン・・・。

カンカンカンカンッ・・・・
上から機械のたまごのようなものが複数落ちてくる・・・・。 戦闘開始だ!

機械のたまごは、虫の形に変形し 群れを成して襲ってくる。
最初の相手は6体のバグ。まずはそれを全力で排除しなければならない。
DPSは範囲攻撃を駆使し、これを駆逐していく。

60秒が経過すると、次の敵が現れる。アラガンワーク・ナイトとソルジャー。
各2体ずつ、計4体・・・。

さらに複数のバグと巨大なドレッドノートが追加・・・。
1体1体は、さほど強いわけではない。
ただ次から次へと沸いて出るので、次の敵が沸くまでに目の前の敵を殲滅しないとどんどん状況が悪くなり・・・

やがて押し込まれる。
いかに効率良く素早く敵を殲滅するか。
現在はプレイヤーの攻撃力も上がり、力である程度押し切る事ができるが、邂逅編4層の下限レベルで挑戦する場合、どこの敵にどの技をどれだけ使うか?それをきっちり考えないとクリアは難しい。
それが今回僕たちが挑む 邂逅編4層 だ。
しかし・・・

技を使って攻撃すると消費するTP。
魔法を使うと消費するMP。
また4層ではDPSも複数の敵に対し同時攻撃を仕掛ける範囲攻撃を多用するため・・・技を使用するために必要なTPを大量に消費する。
ヒーラーも同じようにメンバーが全体的にダメージを受けるので、回復する為のMPの消費も激しい・・・。
これらは、放っておくとゆっくりと回復していくが、4層のように次から次へと敵が出現するステージは消費に回復が追いつかず枯渇してしまう。
それゆえ「TP・MP管理」も重要になってくる。
だがそれを楽にしてくれるジョブがある。

それが光のお父さんのジョブ「吟遊詩人」だ。
吟遊詩人が「詩」を歌えば、パーティーメンバーのMPやTPの継続的に回復してくれる。
そう・・・以前光のお父さんが熱唱し、みんなのMP回復を
ONにしたり、OFFにしたり、ONにしたり、OFFにしたり してたアレだ。
吟遊詩人の歌う「賢人のバラード」はMPを回復し「軍神のパイオン」はTPを回復する。
加えて「魔人のレクイエム」は相手の魔法への耐性を下げ、「バトルボイス」を使えば各歌の効果を2倍にしてくれる。
この「詩」をどこで歌ってあげるか・・・それが4層の詩人のポイントであり、突破の鍵となる・・・・。
大丈夫。僕たちのパーティーには吟遊詩人がいる!!!
光のお父さんがいる!
相手を沈黙させ!スライムも運搬できる光のお父さんが!!
さあ!光のお父さんが心を込めて歌います!!
詩は「賢人のバラード」!
どうぞ!
どうぞっ!!
はいっ!・・・・・どうぞっ!!
ど・・・

この日・・・光のお父さん・・・通称「詩を忘れた吟遊詩人」は・・・
最後の最後までその美声を披露する事は無かった。
そうきっと・・・お父さんは歌う事を忘れたんじゃない・・・。
「詩の存在」を忘れているのだ・・・。
そしてこの日は全滅、解散・・・。
翌日の夕飯時から・・・僕の長い長い戦いが始まった・・・。
なんとか歌わせないとっ!!進めない!!
「4層はどうやったん?クリアできたん?」
「あかんなあ・・・なんか忙しい感じやったわ。」
「4層は詩人の詩が重要やで。歌えた?」
「詩?」
やっぱり・・・僕は再び吟遊詩人の「詩」というスキルについて説明した。
まるで初めて聞くような顔をしてはる・・・。 前ちょっと教えたのに・・・。
「詩を歌ってTP・MPを回復すればええんやな」
「そうやな、物理攻撃をするジョブはTPを、魔法を使うジョブはMPを回復してほしいもんなんや」
「物理攻撃?」

「武器を使ってする攻撃かな。忍者とか竜騎士とかモンクやな。」
「魔法ってなんや?手品か?」


「ちょっと違うな、それは。」
「どういうやつや?」
「杖から火とか水とか出すやつや・・・はりーぽったーみたいな・・・」
「なんで そんなんできんねん?」

ほんまや!なんでできるんやろうっ!?そんなん普通できひんのにっ!
え?なに?理屈を説明したらいいの?世界設定班!助けて!世界設定班!!
「ファ・・・・ファンタジーやからね・・・」
ああ・・・なんて便利な言葉なんだろう・・・「ファンタジーだから」。
ガンダムはなんで大地に立つの? ⇒「ファンタジーだから。」
イクサー3の声優をなぜキューティー鈴木にしたの? ⇒「ファンタジーだから。」
なんでアフィリエイトブロガーは叩かれるの? ⇒「ファンタジーだから。」
世の中のわからない事は全てこれで片付けたい。
「ファンタジーってなんや?」

逃げ場無し!!
そう・・・よく考えれば・・・父は・・・FF14が初ファンタジー。
初RPG・・・。
僕は色々今まであまり専門用語を使わずに説明してきたつもりだったけど・・・・

サスタシャに来ている子達とはレベルが違う。
父にとっては 「ドラゴン」 さえも専門用語なのだ。
「物理」と「魔法」の違いがわからない・・・。
光のお父さん計画は・・・そんな人を鍛え上げツインタニアを倒す計画だったんだ。
剣と魔法の世界・・・ファンタジー。そこから説明してあげるべきだったのか・・・。
僕は夕飯を食べ終わってもなお、「ファンタジー」とはどういうものか・・・そんな話を続けていた。

MP切れたら賢人歌って。
この敵が出てくる頃にTPが切れるから軍神歌って。
敵が群れてるときは魔人を歌ってあげて。
これを説明して、覚えてもらう事は簡単かもしれない。
火力自体に問題は無い。父が歌を歌ってみんながMP・TP管理をきちっとしてくれたらクリアは容易だろう。
でもそれって楽しいかな。
光と音に反応して、手順どおりボタンを押してるに過ぎないんじゃないかな。
そうじゃなくて・・・もっと世界を楽しんでほしいというか・・・。
僕は時間をかけ必死で説明した。

子供の頃の親子の会話ってあまり記憶がない。
覚えているのは、父も母も出かける車の中でずーっと仕事の話をしてた事。
その間は何かを質問することもなかったし、質問されることもなかった。
大人が話している時は静かにしてないといけないって思ってたんだと思う。
うちが特殊だったんだろうか? もっと今日あった学校の話とか、好きな話を親子でするものなんだろうか?
父がエオルゼアに来てから、僕が変わったのか、父が変わったのか。
そうか。もともと僕らはこうだったのかもしれない。
ずっと今まで共通の話題が無かっただけなのかもしれない。
「武器で攻撃するのが物理やで。」
「杖は武器ちゃうんか?」
「武器やけどな・・・杖からでる魔法で攻撃するんやで。」
「物理難しいな。わからん・・・」
「わからんかーw」
内容を誰かが聞いても親子の会話に聞こえないかもしれない。
今までこんなに父と会話した事なんてなかった。
そして父と会話する事がこんなに楽しいって初めて知った。
息子が家に帰ってからいつも父と楽しそうに話している。
そんな姿を見て、母はどう思ってたんだろう。

あれから一週間が経ち、2回目のアタック。
完璧なはずだ・・・・。
この1週間でファンタジーとは・・・という所から物理と魔法の違い。
それどころか、ファイナルファンタジーの歴史や世界観。
ロールプレイングゲームの歴史。
吉田さんが昔ハドソンでボンバーマンを作ってたこと。
などなど、幾多の予備知識を詰め込んだ。
父は全て興味深く聞き、今まで以上にFF14という世界に興味を持ってくれたようだ。

詩の効果は完璧に覚えたはず・・・。
でもあえて歌うタイミングは教えなかった。
お父さん・・・それは自分で掴んでください。

頼みましたよ・・・このチームの「吟遊詩人」!!
マイディー 「きりんセット!!」
ここを越えれば・・・計画のラストステージ・・・5層です!!
マイディー 「ゴー!!」

きりんちゃん 「にゃんにゃんぷー!!」
戦いが始まる。

最初のバグは手早く処理!!

バグを処理したら今度はワラガンワークナイト・とソルジャーが出てくる。
問題です。ナイトは「物理攻撃」に弱く、ソルジャーは「魔法攻撃」に弱い。
詩人はどっちに攻撃?
「ナイトか・・・。」
ちゃんとナイトに攻撃してるっ!!

中盤のバグの群れ・・・このあたりから苦しくなってくる・・・。
でもここをすばやく越えないと・・・・

歌ってる・・・見て見てっ!うちの父が歌ってる!!
魔人にバトルボイスを付けて・・・・父の歌った詩の効果で・・・敵の魔法攻撃に対する耐性が落ちる!!

待ってましたとばかりに、めるくんの範囲魔法がバグを消し炭に変えていく!!
いい連携だ!!
いけっ!いけっ!!

最終フェーズ・・・このドレッドを倒せばクリア・・・という所で容赦ない全体攻撃が始まる・・・。
一人また一人と耐え切れず倒れていく・・・・!!
まずいか・・・!?

起こす起こすっ!!
もう最後のドレッドの体力はわずか・・・ここは数名起こして残りのMPは回復に!!

それでも起こすのをやめない・・・・感じるヒーラーの意思・・・。
「絶対全員立ったままクリアする」という強い意志。
残りわずかなTPを技に変え、残りわずかなHPを魔法に変えて叩き込む。
ギリギリの戦い・・・途中の歌が無ければここまではこれなかった。
もう最後はみんなの意地だった。

光のお父さん、邂逅編4層クリア。
いい詩でした・・・お父さん。

宝箱も開けずに はしゃぐ、あらいずメンバーとじょびメンバーたち。
おぱす 「みんな立ってた!」
マイディー 「ナイスリカバリー!」

めるくん 「ナイスレクイエム!!」
あんじゅくん 「バトボさまさまだー!」
褒めまくられる光のお父さん。
僕もちょっとは褒めてよw ファンタジーという言葉がわからない人をここまで育てたんだよーw

・・・・・・。

あしぇさん 「本当に言っちゃうの?お父さんめちゃくちゃ楽しそうだよ?」
マイディー 「そういう計画だし・・・」
あしぇさん 「今のままの方が良くない?」

めるくん 「その後、お父様は純粋に冒険を楽しめるでしょうか?」
うん・・・・。
友達はみんな、言わないほうがいいんじゃない?って言う。
どうすればいいのか、僕にもわからなくなってきた。
親孝行って・・・・なんだろう。

でも今は・・・ただただクリアおめでとう・・・お父さん。
ファンタジーな世界・・・楽しいでしょ?

光のお父さん計画・・・・。
それは、60歳を越えるゲーム好きの父にFF14をプレイしてもらい、自分は正体を隠してフレンド登録。

共に冒険を続け、いつの日か自分が実の息子である事を打ち明けるという壮大な親孝行計画である。

ラグナロク級拘束艦:中枢区画 地下1910ヤルム。
大迷宮邂逅編、最後の階層にして・・・光のお父さん計画の最終目的地。

ここを目指して旅してきたんだよ?
ここを越えたとき、今までに無い感動が待っていると思う。
そしてマイディーさんがずっとすれ違ってきた実の息子だと知ったとき、あなたは喜んでくれるのしょうか?
夕食の時のあの楽しい会話を続けてくれるんでしょうか・・・?

どうするか決めないと・・・言うのか・・・言わないのか・・・。
そんな迷いさえもかき消す、けたたましい雄たけびが響き・・・・
5層の主が姿を現す。

大迷宮邂逅編・・・最後のボス。
光のお父さん計画、最終討伐目標

ツインタニア!!

多分これが今までで一番長い戦いになるだろう。
そして一番忘れられない戦いになるだろう。
この旅が最高の思い出になるように・・・・精一杯戦うしかない!!
光のお父さん計画最終ステージ!!
きりんセット!!
ゴーーーー!!
こうして長い長い・・・本当に長い最後の戦いがはじまった。
つづく。
- 関連記事
-
- 光のお父さんは・・・。 (2016/03/31)
- 光のお父さんは大縄跳びを飛んだ。 (2016/03/30)
- 光のお父さんは物理と魔法がわからない。 (2015/12/30)
- 光のお父さん関連のこと その8 (2015/12/20)
- 光のお父さんは3層で脆くも崩れ去った。 (2015/10/12)