
何年か周期で僕の中におこるトランスフォーマーブーム。
また最近トランスフォーマーが自分の中でマイブームです。
いまやトランスフォーマーというと最初に連想するのが最新CGを使い大迫力の映像の連続で作られるマイケル・ベイ監督の映画版「トランスフォーマー」という方も多いと思います。
でも僕が一番好きなのは映画のトランスフォーマーではなく
一番最初のアニメ「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」なのです。
もはや30年も前に海外で作られたアニメなんですが、どこにそんな魅力があるのか?
最大の魅力を一言で言うと、30分の放送時間の中で最低でも4回は「え?」っていうシーンがあるところ。
そこを詳しく説明したい。ぜひしたい。

本来、アニメ、映画、ドラマ、小説などの作品にはいずれも必ず「物語」が存在する。
そしてそれと同時に、作品である限り「はじまり」と「おわり」がある。
ガンダムでいうと、アムロがガンダムを立ち上がらせるで始まり、終戦して終わる。
その流れを追っていくので、必ず全てのシーンに「おわり」へと進む「行動」が発生していく。
「行動」は物語を進める事もあれば、メカをかっこよく見せるような「行動」や、キャラクターに深みを持たせる「行動」もある。
物語上で描かれる「行動」には全て意味があるのが普通なんです。それが当然で、必然なんですよね。
ここで戦え!超ロボット生命体 トランスフォーマーの第3話「地球脱出!」のワンシーンを見てみよう。

悪の軍団デストロンが宇宙船を完成させ、宇宙に飛びたつシーン。
物語としてみると、悪の軍団デストロンが乗ったこの宇宙船を逃がしてしまうと、故郷のセイバートロン星がめちゃくちゃにされてしまうので、コンボイ司令官が率いる正義のサイバトロン軍団はなんとしてもこれを食い止めないといけないという物語。
いよいよ宇宙船は飛び立ってしまい、これを逃すと「BADEND」という緊迫したシーン。

コンボイ司令官は、ランボルを呼び出し 半ギレなテンションで背中のジェットパックを貸せとすごむ。
視聴者は、まあ多分そのジェットパックを使って宇宙船を追いかけるんだなとイメージする。

仲間のトランスフォーマーたちは口々に「あぶない」「危険です」「無茶だ」と反対しますが、コンボイ司令官は「うるさい!」と一喝。
仕方なく仲間たちはジェットパックを装着してあげる。
構成上普通に考えると、まわりが止めるのはこの「行動」の緊迫感を煽るための演出。この危険な「行動」を成功させることで主役であるコンボイ司令官の「行動」は、よりかっこよく見えヒーロー色が強くなる。そのためにこのシーンはあるわけです。

そしてデストロンの宇宙船を追い飛び立つコンボイ司令官。
かっこいい。
ヒーロー物のTV番組は、そのおもちゃの絶対的なプロモーションであるべきだから、主役をかっこよく見せ 子供たちに良い印象をつけるのは製作上、最重要な「行動」であるといえる。

コンボイが追ってきたぞ!と気づく悪のデストロン。
物語として悪のデストロンはセイバートロン星を征服したいのでここは逃げ切るための「行動」が必要がある。
メガトロン 「ええーい、打ち落としてしまえ!」
悪の大将、メガトロンは部下たちに迎撃せよと指示。l当然の「行動」を取る。

宇宙船の後部から大砲が出現し、追ってくるコンボイ司令官に向けてビームが発射される。

さーここでクイズでーす。
コンボイ司令官、このあとどうなる!?
① 初弾で撃墜される。
② ビームをかわしてかっこよく宇宙船を撃破!
③ がんばって戦ったけど逃がしてしまった・・・。
さあどれかなー?

①はさすがにギャグ漫画じゃないですかw あまりに意味の無い「行動」になってしまうので①は消えるとして、②か③。
②はコンボイ司令官のかっこよさもまして、敵の行動を阻止するので物語上非常によい「行動」になる。
③はコンボイ司令官のかっこよさも増しますが、敵に逃げられるというさらに緊迫したシーンにつながるわけで、今後の展開に目が離せなくなる。
こういう風に考えますよね。
では答えを見てみましょう。




そう、まさかの ① なのだ。
なんだろう・・・無理言ってランボルからジェットパックを貸してもらって飛び立って何の成果も得られない。
コンボイ司令官がただかっこ悪く見えるだけの「行動」・・・。
まずここで、「え!?」って思いますよね。

コンボイ司令官を心配して集まる仲間たち。
しかし、ここでコンボイ司令官が「みんな、すまない・・・」という台詞をはけば、この一連の行動は「コンボイ司令官の一生懸命さと謙虚さ」が伝わるシーンになるわけですが・・・
「大丈夫ですか?」と心配する仲間に

コンボイ 「大丈夫と言ってるぅだろぅうがっっ!」
舌巻いて怒るんですよw え?逆ギレ?
ここでまた「えぇっ!?」ですよw
もうなんか「だからやめろって言ったのに・・・」って言いたいけど上司だし言えないみたいな空気が漂うサイバトロン。
かなりリアルに描かれたサラリーマンの日常みたいになってる。
ある意味人間より人間らしいロボットたち。
この空気どうすんだよ・・・って思ってたら。

実はリジェという普段あまり目立たないメンバーが「透明になる」っていうチート性能で、デストロンの宇宙船に潜り込んでたらしく、ブリッジで銃を撃ちまくって撃墜してきたっていうオチなんですよね。
で、コンボイ司令官も交えてみんなでバンザーイバンザーイって・・・って終わる。
ええーーっ!?
構成上、あのコンボイ司令官がジェットパックで飛んでいくシーンまるっといらないんじゃないの?
誰も得しないシーンになってるし・・・それならその時間を使ってリジェが透明になって見つかりそうになるシーンとか入れた方がドラマ的に良かったんじゃないのっ!?
そうこれが、僕がトランスフォーマーというドラマの一番魅力を感じる要素
必ず物語上での「行動」に意味があるわけではない構成、言うなれば
「ノープラン・結果オーライ主義」とでも呼ぶべきか。
もうなんか「かっこいい」というよりだんだん「愛しく」思えてくるw
あまりにもむちゃくちゃな展開で、説明も少ないし、突っ込みどころが満載。
いくら30年も前の作品とはいえむちゃくちゃにもほどがあるって思うでしょ?

でもトランスフォーマーのそういうむちゃくちゃな部分って、30年以上かけて世界中のファンの間でその意味や理由を推察したり補填したりして「情報」として広まってきた。
作品中「ええ?」って思う部分もそういった情報で補填するというおもしろみ。

トランスフォーマーの変形玩具が今でも世界で愛され続けているのは、劇中の荒唐無稽なトランスフォームに対する、ひとつの回答が得られるからだと僕は考えます。
また海外のシリーズものなのでキャラクター数も多く、スターウォーズやスタートレック、マーベルヒーロー達のように「こんなキャラいるんだ」とか「このキャラはあの作品のあそこに出てたやつだー!」いう発見の喜びやコレクション要素もある。
コンテンツとしては非常に深みがありおもしろい。またそれが世界規模であるというのが楽しいですね。

なかなか言葉で表現するのは難しいトランスフォーマーワールドの魅力。
がんばって文章にして見ました。
「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」、バンダイチャネルの会員であれば全話無料で見れますよ!
一緒にはまってみませんか?「トランスフォー沼」に。
つづく。
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