ことばのない森

    言葉のない森

    僕たちは言葉を話す。

    まあ、当たり前のことなんだけども。
    特にオンラインゲームで誰かと意思を疎通しようとすると言葉は何よりも大事ですよね。

    おはよう、こんにちは、こんばんは。そんな挨拶も言葉。

    がんばったね、すごいね、大好き。それも言葉。

    馬鹿じゃないの?どうしてできないの?大嫌い。それも言葉。

    オンラインゲームに限らず僕らは言葉を話し気持ちを伝え合う。


    でももし・・・その言葉が無かったら? 

    僕たちは言葉を無くしても生きていけるのだろうか?

    言葉の無い森1

    オンライン大三千世界の片隅に、「TheEndlessForest」という森があるらしい。

    その森には「人の顔をした鹿」が住んでいて、互いに何かを競ったり、何かと戦ったりせずに生きている。

    そして言葉すら無いオンラインゲームらしい。何も無い静かな森で鹿だけが生きている。

    そんな静けさを楽しむオンラインゲーム、それが「TheEndlessForest」の世界。

    それがどんなものか知りたくて、僕も「鹿」になってみることにした。

    言葉の無い森2

    登録とダウンロードを済ませ、さっそくスタートしてみる。

    画面には1匹の鹿がいる。

    キャラメイクも無い。オープニングも無い。プレイヤー名を決めることもない。

    言葉の無い森3

    起きた。どうやらこれが、「僕」らしい。まだ小さい小鹿なんだ。

    頭の上に光る記号がある。何かの模様かと思って公式サイトを調べてみたら、これが僕を僕と認識するための「名前」の代わりらしい。読むことはできないけど、これが僕の名前。

    言葉の無い森4

    自由に動けるので、僕はこの森を散策してみることにした。

    なんとゲームパッドにも対応しててびっくり。

    チュートリアルなんか無い。目的も無い。何もしなくてもいいし、何かしてもいい。

    言葉の無い森5

    操作も簡単。いくつかのアイコンがあるので、それを押せば何かをする。

    鳴いたり、耳を澄ましたり、ひざまずく、二本足で立つ、うなずく、首を横に振る、においをかぐ、食べる。木に体をこすりつけるなど・・・。公式サイトに各アイコンの意味が書いてあるのでそれを参考にして動いてみる。

    言葉の無い森6

    木をみつけた。

    言葉の無い森7

    体をこすり付けてみた。

    言葉の無い森8

    ぽとりと木の実が落ちてきた・・・・。
    あまりおいしそうではないな・・・。

    でも、食べてみるか。

    言葉の無い森9

    食べてみたけど、何が変わるわけでもない。ただ食べただけ。
    なるほど、別に食べなくても良かったんだ。

    言葉の無い森10

    ゲームって何かを食べたりすると体力が回復したり、少し強くなったりするよね。

    でも、なんで体力が減るかというと何かに襲われるからで、強くなったりするのは何かを倒さないといけないから。

    そんな脅威はこの森に何ひとつ無い。だからものを食べたからといって、なにがどうなるわけでもないんだ。

    言葉の無い森11

    しばらく歩くとお花畑があって、花を摘むアイコンを押したら頭にお花の輪が付いた。

    おしゃんてぃ。

    言葉の無い森12

    次は池を見つけた。 魚や蛙がいるね。

    こいつらは別に襲ってこないし、自分が襲うことも無い。ただそこにいるだけ。

    この森に自分の生命を脅かすものは何もない。平和だなあ。

    言葉の無い森13

    別に飲まなくてもいいけど、水でも飲んでおこ。

    こくこく。

    言葉の無い森14

    これは「ツインゴッドの像」だって。この世界を作った二人の製作者の像らしい。

    とりあえず祈りを捧げておこうかな。

    祈るアイコンを押してみると・・・・

    言葉の無い森15

    うわっ!からだが白くなったっ!!

    言葉の無い森16

    白くなった!!

    言葉の無い森17

    戻った。 あの像に祈りを捧げたら一定時間白くなるのか。

    別に白くなっても何がどうなるわけではない。ただちょっとの時間、白くなるのだ。

    言葉の無い森18

    鹿って退屈だなぁ。

    よくオンラインゲームで先を走りきっている人は「することがない」とか言ったりするけど、友達と話したり、周回したり、お金ためたりと、一応する事はあるもんなw

    鹿には何も無い・・・。

    何しようかな・・・もう一回 水飲もうかな、木の実を食べようかな、体を白くするのもいいな・・・・。

    言葉の無い森19

    「けぇぇぇぇん」

    することが無いので、とりあえず鳴いてみることにした。

    鳴き声が楽しいので、何回も鳴いてみる。

    「けぇぇぇぇん」「けぇぇぇぇん」「けぇぇぇぇん」

    その時だった・・・!





    「けぇぇぇん」





    遠くから同じ鳴き声が聞こえたような気がした。


    言葉の無い森20

    僕は確かめるようにもう一回だけ鳴いてみた。

    「けぇぇぇぇん」























    「けぇぇぇん」










    言葉の無い森21

    誰かいるっ!!

    僕の鳴き声に反応して鳴き返してくれた人がいる!!

    この世界で・・・僕以外のプレイヤーがいる!!

    見たい!!逢ってみたい!!

    言葉の無い森22

    僕は周囲を必死で探した。なんだろう・・・これを逃したら二度とこの世界で僕以外の誰かに会うことが無いような気がした。

    なぜかこの時僕は泣きそうになってた。 同類がいるという喜びだろうか? それが世界のどこかで同じ時間にこの森にいる。

    たったそれだけのことなのにすごく感動して・・・。不思議な感覚だった。


    そして見つけた・・・この世界にいる。僕以外の誰か。

    言葉の無い森23

    僕と同じ容姿の鹿だけど・・・名前が違う!!

    相手も僕を探していたのか、僕を見つけて立ち止まりゆっくりとよってきた。


    やっと同類に逢えたのに・・・すごい感動しているのに・・・・

    僕たちはそれをお互い伝え合う「言葉」を持たない。

    言葉の無い森24

    僕は挨拶のつもりで、ひざまずいてみた。

    伝わるかな?僕はあなたに逢えてうれしいですよー!

    言葉の無い森25

    相手もひざまずいてくれた!!

    僕らは言葉を話せないけど、お互い鹿としての意思疎通ができた!!

    なんだ・・・・この感動は!!

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    お互いの名前が近づくと体がひかりだした。

    なんとなく意味がわかる。これは「あなたに」っていう意味なのかな?

    あなたの方を向いてますよという「なりたち」を表しているのかな。

    たのしくなってきた!

    言葉の無い森27

    二匹の鹿は言葉こそしゃべらないけど、互いに大笑いしたり踊ったりして「あなたへの好意」を伝え合った。

    すごい。なんかすごい。

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    言葉が無いからルールもない。自分が良いと思うことをするだけ。

    この人はどんな人なんだろう。どこの国の人なんだろう。何をしている人なんだろう。

    なんでこの森に来たんだろう。でもそれを聞くことはできない。

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    しばらく互いに感情を伝え合い、興味が無くなったら解散。

    それがこの世界の普通なんだ。


    本当に動物だ。

    僕はしばらくこの森を散策し、いろんな鹿に出会った。

    言葉の無い森30

    その度に互いに感情を表現しあった。

    そうしながら僕は色々考えた。

    たしかに言葉は便利かもしれない。好意を相手に伝えることが簡単だ。

    でも言葉は相手を傷つけることがある。自分自身も傷つくこともある。

    言葉の無い森31

    だから「ことばのない森」はとても静かで平和だ。

    必要以上に相手に干渉できないから、誰も傷つくことは無い。


    限られた動作を駆使して、あなたが存在してくれてうれしいというのを互いに伝え合うだけのやさしい世界。

    人間が明日全員「鹿」になれば、争いは無くなるし誰も傷つかない。

    悲しみがひとつもない未来がくるだろう。



    言葉の無い森32

    でも僕たちは人間だ。言葉を話せる動物だ。

    鹿になんかなれやしない。今更言葉を捨てる事もできない。

    僕らが静かに平和に生きるには、上手に言葉を使うほかない。

    言葉は誰かを傷つけるためにあるのではない。
    喜びを伝えるためにあるのだと、そう思って今日も言葉を使おう。

    鹿のように。




    言葉の無い森33

    ことばのない森に住む鹿たちは、僕にそんな事を教えてくれました。

    ひとこともしゃべらずに。









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    コメント

    No title
    ここまでシュールじゃないけど「風ノ旅ビト」も言葉のないRPGっぽさがあったね
    No title
    鹿、深いですね。
    でもやっぱり、しゃべりたいなあ。
    しゃべれてよかった♪
    No title
    見えなくなって初めて見えていたことを感謝して、見えていたことは当たり前ではないのだと気付かせてくれる。
    同じように言葉というものが感情を表したり、相手への気持ちを表現するものだったんだと教えてくれた言葉を持たない鹿は誰よりも雄弁に語っていたんではないかと思います。

    なんか、少し切なくなって、自分を振り返ったときにあの小さい鹿に恥じないような言葉を選んでいきたいなあと思いました。

    当たり前のことだけど、とっても大事なことに気づかせてもらいました。

    ありがとうございます。
    いつも楽しく拝見しております。

    とてもいい話…!
    なのですが……

    「けぇぇぇぇぇん」に、文字通り吹きましたww
    No title
    このようなゲームがあるんですね…!
    言葉のないオンラインゲームなら、もうちょいショートなないようになりますが「風ノ旅ビト」もおすすめです!PS3か4ですが……
    No title
    いつも楽しく拝見してます。
    ツイッターで見て気になっていたので、記事にして頂けて嬉しいです。

    こういったかんじのオンゲーもお好きなら、ぜひ「風ノ旅ビト」をプレイしていただきたいなと思いました!音とジャンプで意思疎通しながら海外のひとなどとクリアするゲームって素敵ですよね。
    No title
    まんま風ノ旅ビトやね

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