
僕は思った。



そこまで贅沢は言わない。
せめて1人だけでも分身が作れたら・・・

この状況が打破できるのに!・・・・と。

光のお父さん計画・・・・。
それは、60歳を越えるゲーム好きの父にFF14をプレイしてもらい、自分は正体を隠してフレンド登録。
共に冒険を続け、いつの日か自分が実の息子である事を打ち明けるという壮大な親孝行計画である。
LV50を越えた光のお父さんは、次々とダンジョンを攻略し新たな「戦記装備」を手に入れ始める。
さらに武器の強化を行うため、「レリック」を作り始めるのだった。
レリック完成に必要な真・蛮神戦。その最終戦である「真・タイタン戦」に挑む。
きっちりと予習をした光のお父さんであったがマイディーとのマッチングの後、息子を呼び出し
「不安だから横にいてくれ」と懇願・・・画面には魂の抜けたマイディーさんが映っていた。

ここにきての・・・息子ナビ起動・・・。
せめて突入する前なら・・・なんとかなったんだけど・・・僕がここに居続けると・・・
マイディーさんが動かない・・・なんで?ってなるよな・・・。
とはいえ・・・捨てられて子犬のような目で見られてるし・・・。
そんなん知らん・・・自分で何とかしろ!って言って出て行くのか? あれだけ予習を一緒にしたのに?
迷ってる時間は無いが・・・メインタンクが きりんちゃん で良かった!
「きりんセット」・「ゴー!」の掛け声無しでは開戦はしないだろう。
辛い・・・親のあの目を見てしまっては・・・見捨てられない・・・。
だが・・・!!ここは・・・・!!
「ごめん、今電話中やねんか・・・なんかあったら・・・呼んで?」
「お・・・おう・・・あかんかぁ・・・」
「仕事の電話やねんか・・・。いけるって!大丈夫!ほな!」
僕は父の自室をあとにした・・・後ろ髪を引かれる・・・だが、さくっと倒せれば・・・問題ない!!
そうだ!倒せれば何も問題なんか無い!!

PCの前に戻った僕は、すかさずFC:じょびのチャットでメンバーに事情説明。
マイディー 「ごめん、呼ばれたけど・・・振り切ってきた・・・」
ななさん 「近くにいるのに助けられないとは・・・スーパーマンみたいなシチュエーションですねw」
そんなかっこいいものじゃないですw

知ってる・・・。 どれだけ緊張しているかも知ってる。
それを察してかメンバーたちも光のお父さんを勇気付ける。
きりんちゃん 「がんばろ~♪きりんはよく落ちてたよ~w」
マイディー 「今日も落ちるよ~♪」
きりんちゃん 「ががんとす!」
ななさん 「こればっかりはなれるしかないですね^^」
るこちー 「知ってるメンバーです、気楽にいきましょー」

おお・・・少しは緊張がほぐれたかな・・・?
みんなグッジョブ!!
この雰囲気なら・・・早く終われそうだ!!

あとは・・・ドラマチックに倒すだけ!!
みんなはいつもどおり・・・手加減をよろしく!!
光のお父さん・・・3日間の予習の成果を!!

マイディー 「きりんセット!!」
始めよう・・・真・タイタン戦・・・!!
マイディー 「ゴー!!」

きりんちゃん 「にゃんにゃんぷ~♪」
まずは最初のフェイズ・・・この辺は前のタイタンとさほど変わらない・・・

フレイミングアロー・・・効果的かどうかは別として単調だった光のお父さんの攻撃のバリエーションが増え始めてる。
息子ナビの成果か?
しかし真・タイタン戦は攻撃よりも避ける事が重要・・・いかに死なないか!

華麗に舞いながら戦う光のお父さん!!
かっこいいが・・・こうかはいまひとつのようだ。

問題はタイタンの攻撃をかわせるかどうかだ・・・。
攻撃に対する知識は充分のはず・・・それに直面したとき・・・とっさに動けるか?
そこだ・・・
じわりじわりとタイタンのHPが削られ始める・・・。

「重み」来たっ!!
足元のマグマ発生等同時に・・・円の外へ・・・

退避・・・!!

お父さんは!?

よし!!
光に変えたからラグもほぼ無いはず!! ちゃんと退避できてるぞ!!

息子ナビをしている時、父の戦い方をよく見てみていて気づいた事があった。
危険発見→回避の行動が極めて早い。反射神経は良いのだ。

なので「重み」や「スライド」のような攻撃を避けることはできる。

だが、ルールのある攻撃に弱い。
例えば、タイタンの3列ボム。 真ん中、右、左。 もしくは真ん中、左、右の順で爆発する岩が落ちてくる。
一番最後に落ちてきた列に避難し、真ん中が爆発したら真ん中に移動する。遅れると爆発に巻き込まれ大ダメージ。
ルールは覚えているものの、目の前で起きた攻撃が自分の知っているどの攻撃かを思い出す時間にロスが生まれる。
1回目の3列ボムで光のお父さんは倒れた。

やりなおし。

しかし、今回、光のお父さんは「予習」をきっちりと行った。
今何故自分が死んでしまったのか、その理由はわかっている。
では、次はどうすれば良いのかがわかっている。

何度か失敗はしたが・・・そこからの成長は早かった。
タイタンの心核を破壊し、どんどんと進む。
数回目のアタック・・・!!
光のお父さんは緊張に打ち勝ち・・・ちゃんと立ち回れるようになっていた・・・。
タイタンの残りHP・・・数パーセント!!

あんなに恐怖してたのに・・・がんばった・・・がんばったね。
お父さんの戦いを・・・終わらせるね。

受けよタイタン!!

リミットブレイク!!

ファイナル・・・・!!

ヘヴン!!


断末魔の雄たけびを上げるタイタン!!
しかし・・・びっくりしたのは僕の部屋にまで聞こえる・・・
家中に響くほどの父の雄たけびだった。

あまりにびっくりしたので、僕はパッドを投げ出し、父の自室へと駆けつけた。
そこで見たのは・・・
胃を摘出し、やせ細った身体。
もう昔の面影は無い。
でもパッドを握り締めながらこちらに顔を向ける
そこには、まるで子供みたいな表情で喜ぶ父の顔。
そうか・・・お父さん。お父さんは本当に嬉しい時、そんな顔をするのか。
僕は、知らなかった。
「良かったやん、おめでとう。がんばったなw 子供かw」
そう言って僕はドアを閉めた。
もう持たなかった。閉めた瞬間涙がポロポロとこぼれた。
何も泣くことはないのに、とにかく涙が出て仕方なかった。
予習頑張ったもんね、うれしいよねw

モニターの前に戻ると、みんなが光のお父さんの健闘を称えていた。
あるちゃん 「光のお父さん(キャラ名)、すごいです!」
るーしー 「すごいスキルアップしてます!」
僕も鼻をすすりながら、会話に加わる。

マイディー 「説明無しでしたがいけましたね、よっぽど予習したんですねw」
光のお父さん 「予習は毎日しました、でもみなさんのおかげです。」
マイディー 「じゃあ、記念撮影しましょかw」

光のお父さん計画。
最初はどうなるかと思った。 自分自身でもそれが親孝行になるのか疑問にも思った。
ただ、僕はこの目で見れました。 父だって高齢なのであと何年生きられるかわからない。
でも僕は、その限られた時間の中で見る事ができたんだ。あんなに嬉しそうにする父の顔。
みんな、協力してありがとうね。

みんなで何かを乗り越える感動。
予習と言う形での努力が実った感動。
仲間と称えあう感動。
今、その喜びが光のお父さんを包んでいる。

僕は父をグランチョコボの背に乗せて、フォールゴウトを目指した。
頑張った証「レリック」を受け取るためだ。

ゲロルトさんにキーアイテムを渡し、レリックを受け取る光のお父さん。
受け取ったレリックを装備し、嬉しそうにレリックを構えてはしまい、構えてはしまい・・・やるよねそれw
いつも必要なことしかしゃべらない光のお父さんが珍しく自分から話し始める。
光のお父さん 「今日は本当に感動しました。」
マイディー 「嬉しそうですねw 強い敵を倒した達成感は病み付きになりますねw」
光のお父さん 「もっと感動したいです。」

マイディー 「では・・・大迷宮に挑んでみてはどうでしょう?」
光のお父さん 「大迷宮?」

大迷宮は、8人で挑む最も難しいコンテンツです。
ひとつずつ攻略し、上り詰めていく緊張感とクリアした達成感は格別です。
もし今日、感動できたならもっと大きな感動が待ってると思いますよ。

大迷宮に挑む理由が無い。
そう言っていた父だが、人がなぜわざわざ難しいコンテンツに挑むのか少し理解できたようだ。
父は真・タイタン戦を経て、大迷宮に挑む理由を見つけた。
「乗り越える感動が欲しいから。」
どうやら光のお父さんは、大迷宮バハムートに挑む決意ができたようだ。
でも、本当の感動を感じて貰うためには「今考えていること」を形にしないといけない。

「その大迷宮をクリアすれば、大いなる謎があかされます。」
光のお父さん 「そうですか、ドキドキですね」
マイディー 「きっとびっくりしますよw」

そうか・・・そんな風に・・・。

マイディー 「ではそのお礼は、大迷宮5層を突破した時にちゃんと頂きますね。」
そろそろ準備を始めなければ・・・。
光のお父さん計画【最終フェーズ】の・・・。

翌日の夕飯時、父は真・タイタン戦の武勇伝と大迷宮へ行く決意を語っていた。
「ふーん、ほな大迷宮行くんや?」
「なんか謎がとけるらしいで。」
「そうかあ、なんかあるんやろうなあ、謎が。」
「でも、マイティさん気になる事言うてたんや・・・」
「なんて?」
「礼は、そこをクリアしたとき頂きます。って・・・」
「へー」

違う、そうじゃない。
光のお父さんはわかったのか、わかってないのか・・・・。
大迷宮バハムートへ挑む決意をしたようです。
つづく。
- 関連記事
-
- 光のお父さん関連の事、その3 (2015/01/06)
- 光のお父さんは大迷宮を目指す。 (2014/12/22)
- 光のお父さんは決意した。 (後編) (2014/12/16)
- 光のお父さんは決意した。 (前編) (2014/12/15)
- 光のお父さんはLV50からの世界を生きた。 (2014/12/01)