
コンコン。
僕の部屋のドアをノックする音が聞こえる。
「これたら来て!」
父はそう言ってドアを開けない・・・・。
あの日以来、父は部屋に入ってこない。必ずドアの前で「これたら来て」と言うだけだ。
自分としては好都合なのだが・・・・その理由を考えてみると複雑だ。
先日釣りの件で父が急にドアを開けたとき、僕は心底驚いた。
深夜、息子の部屋に入ったら、息子がPCの画面を慌てて隠し心底驚いた表情で「なに!?」と聞くわけです。
多分・・・父は・・・「何かを察した」のでしょう。
僕は忘れない・・・あの時父がした「あー・・・・w はいはいごめんごめん」という表情・・・・。
違う・・・断じて違う・・・・僕は えっちなページ を見ていた訳ではない!
ただ僕は、ファイナルファンタジーをしていたに過ぎない!! 誤解だ!100%誤解だだっ!!
しかし、それ以来 急に部屋に入ってこなくなったので、この誤解はこのままにしておこう・・・・。
耐えよう・・・耐えて見せよう・・・・この痛烈なる恥辱!!
計画が完了する・・・その日まで!!

光のお父さん計画・・・・。
それは、60歳を越えるゲーム好きの父にFF14をプレイしてもらい、自分は正体を隠してフレンド登録。
共に冒険を続け、いつの日か自分が実の息子である事を打ち明けるという壮大な親孝行計画である。
初の8人パーティーで挑むリットアティン戦を問題なくクリアした光のお父さん。
もう光のお父さんは気づいている。この世界が楽しいのは仲間がいるからだと。
たくさんの人に助けられ、自分はもうすぐLV50になり最後のダンジョンに挑戦するんだと。
だが、光のお父さんはまだよく知らない・・・。
FF14はLV50になりラストダンジョンをクリアして初めてスタートするのだと。

マイディー 「では行きましょうか。」
ここは・・・外郭攻略カストルム・メリディアヌム。 ラストダンジョン1つ前のダンジョンだ。
リットアティンを倒した光のお父さんは、残った討伐手帳を埋め経験値を稼ぎLV50に到達した。
その後、詩人の専用装備であるAF(アーティファクト)も手に入れてきた。
AFはその職のイメージとなる装備。LV50に到達した証でもあり、誰もが最初にあこがれる装備だ。
見た目にこだわる光のお父さんもやっと満足な衣装に袖を通してさぞ満足だろう。
そしてやってきたのだ、この「外郭」に。

メンバーはFC:じょびで固めてある。まあ絶対にクリアできるメンバーだ。
するっと楽しく終わるだろう。
しかし、僕は事前に光のお父さんにテーマをひとつ与えておいた。

「仲間の支援」
攻撃係であるDPSにおいて「吟遊詩人」の立場は少し特殊だ。
戦闘中、攻撃を行いながら「詩」を歌うことで仲間が有利になる支援を行う事ができる。
攻撃と支援を状況を見て使い分ける事ができて初めて一人前の吟遊詩人と言えるだろう。
そして吟遊詩人の代表的な支援として「賢人のバラード」がある。

賢人のバラードは、一度歌うと範囲内にいるパーティーメンバーのMPが自動回復する。
回復を司る白魔導師はMPを心配する事無く回復に専念でき、黒魔導師もMPの使用が大きい魔法を安心して打てるありがたい「詩」なのだ。
「そうしたらみんな喜んでくれるんか?」
「せやな。詩人の大事な仕事のひとつやな。」
外郭に行く数日前に父に僕はアドバイスをしておいた。それがこの外郭でできるかどうか・・・・?

わかりやすく白魔導師のAFを着てきてくれた あるちゃん。
ろうさん 「ヒーラーはあるちゃん一人で大丈夫な気がしてきたw」
あるちゃん 「参加することに意義が!」

さすが委員長である。

きりんちゃん 「ふぁいお~♪」
きりんちゃんが声をかける。
仲間たちに支えられ進撃する光のお父さん。
しばらくすると光のお父さんが、特になんでもない場面で弓をしまい・・・

「賢人のバラード」を歌いだした!!
賢人のバラードを連打して歌っている!!
バラードなのに・・・!まるでシャウトしているかのごとく・・・!!
「そうしたらみんな喜んでくれるんか?」・・・・そう言ってたお父さん。
まさか・・・・みんなを喜ばせようと・・・!?

外郭に響き渡る光のお父さんの歌声!!
その連続で歌われる光のお父さんの歌声は・・・僕たちのMP回復を・・・

ONにしたり、OFFにしたり、ONにしたり、OFFにしたり。
お・・・お父さん気持ちはありがとう。ありがとうな?
でも、賢人のバラードは1回歌うとONでもう一回歌うとOFFやねん。
連打はあまり・・・意味が無いんや・・・。
-学園チャット-
マイディー 「手厚いバラードが・・・・」
あるちゃん 「はい」
りりーさん 「熱唱」
あるちゃん 「お父さんのMPが・・・」
-PTチャット-
きりんちゃん 「ふぁいお~♪」

光のお父さんの気持ちはこもっているが、効果はいまひとつなバラードを受け、ついにダンジョンラストへと差し掛かるパーティー。

外郭攻略カストルム・メリディアヌム・・・・。

無事クリア!
喜びを分かち合おうと、光のお父さんにかけよる きりんちゃんのおでこを光のお父さんの矢が無慈悲に貫いている絵づらがおもしろかったw
-翌日-

そしていよいよ、やってきたのだ。
光のお父さん「ラストダンジョン」。
便宜上ラストダンジョンとうちのLSでは読んでいるが、これをクリアすればFF14が終わるわけではない。
オフラインゲームと違い、オンラインゲームに終わりは無い。
しかしFF14はひとつの冒険の区切りとして、このラストダンジョンをクリアすると「エンディング」が流れるのだ。
そしてここをクリアすると、生涯かけて取り組むような「エンドコンテンツ」が始まる。
FF14の本体はここにあると言っても過言ではない。つまりLV50になり、このラストダンジョンをクリアして初めてFF14のすべてのコンテンツを遊ぶ権利が得られるのだ。
故に、自分のLSではここをクリアすれば一人前と認め師弟の関係から仲間としての関係になる式を行ってきた。
僕たちはそれを「卒業ダンジョン」と呼んでいた。

1年以上前に行った、一撃学園最初の卒業ダンジョン。
みんなは万感の思いで進み、最後の敵に直面する。
圧倒的な迫力で襲い掛かる・・・

アルテマウエポン!!
イフリート、タイタン、ガルーダ、3蛮神の力を吸収した禍々しき存在。
こいつを破壊しなければこのダンジョンは終わらない。
緊張する卒業生の前で僕は言った。
「大丈夫!ここまで来たみんななら絶対勝てるから!何があっても冷静に!」

あの卒業ダンジョンからもう1年か・・・。
あの頃卒業したメンバーたちが、今度は自分の父親のラストダンジョンを手伝ってくれる。
なんか・・・ねw もうなんかそれだけでちょっとホロっときちゃうよねw

来た!!
いよいよ光のお父さん・・・ラストダンジョンだ!!
FC:じょびのメンバーとPTを組み、光のお父さんを迎えに行く。

いつものように、ひざまずく光のお父さん。
行きましょうか、みんなラストダンジョンの突入口で待ってますよ。

ラストダンジョンは、8人パーティーだ。
タンク:いくろーさん・クライブさん
DPS:マイディー・るーしー・めるくん・光のお父さん
ヒーラー:あるちゃん・るこちー
いずれも、ベテラン揃い。安心のパーティーだ。
アルテマウエポンを当然倒すことができるメンバー。
しかし・・・マイディーは、そのメンバーたちに言う。
これは光のお父さんの記念すべき戦い・・・・
より ドラマチックに決めるため・・・・

マイディー 「ラスト10秒の時点で LBゲージ は 3 まで溜めてください。」
LBゲージには3段階あり、4人パーティーだと2までしか溜まらない。
しかし、8人のフルパーティーだとゲージは3段階になり、マックスで放つことでド派手な「ファイナルヘブン」を放つ事ができる。
アルテマウエポン戦の劇的なラスト10秒で「ファイナルへブン」を決めてクライマックスを盛り上げ 光のお父さんのラストダンジョンのクリアに対する感動を高める。
さて、うまくいくか・・・。

各種ギミックの操作は、光のお父さんに考えてやってもらう。
そうする事で進んでいるボルテージを上げていく。
ラストダンジョンには色々なギミックがあり楽しい。
そして最初のボス。

ここで、前回の外郭に参加していなかったクライブさんが一言。
クライブさん 「ヒーラーのMPが少なくなったら賢人のバラードを歌ってあげるといいですよ!」
く・・・くらいぶさんっ!! う・・・詩の話は・・・・!!
光のお父さん・・・最初のボスを倒して進んでいる最中・・・

やはり、賢人のバラードを熱唱連打。
言うの忘れてた・・・・。

光のお父さんが熱唱するたびに・・・パーティーみんなのMP回復が・・・
ONになったり、OFFになったり、ONになったり、OFFになったり
しながら、進行していく・・・。
いくら「もう大丈夫!攻撃しましょう」と言っても全然歌うのをやめないw
歌を歌って戦争を終わらせようとしているの? マクロスなの?
光のお父さん、マジ、ヤック デカルチャー。

そんな事を思いつつも・・・ダンジョンは終盤戦へ。

ガイウス閣下との死闘、さすがにお父さんも歌っている場合ではない攻撃に参加。
攻撃しながら歌うのが苦手のよう。攻撃か支援かどちらか。 この辺は練習しないといけませんね。

そしてついに魔導城の最深部へ到達!!
そこに待つのは・・・光の戦士を迎え撃つ・・・最終兵器・・・・!!

最強最悪の・・・・

アルテマウエポン!!
その登場シーンはラストバトルの激しさを感じさせる・・・。
初見のときはとんでもないプレッシャーを与えてくる・・・。

そりゃそうだろう・・・。
禍々しいボディは直感で強さを感じるだろうし、どんな攻撃をしてくるかもわからない。
自分の技術で・・・本当に生き残って倒せるのだろうか・・・?
そういう不安になりますよね・・・・。

ここにいるみんなも、その緊張を乗り越え・・・いまここにいるのですよ?
「大丈夫!ここまで来た光のお父さん(キャラ名)なら絶対勝てます!!
何があっても冷静に!」
僕がいつもここでみんなに言ってきた一言を添えて・・・・いざ・・・決戦!!

アルテマウエポンは強い。
今まで光のお父さんが、くじけずに倒してきた蛮神イフリート、蛮神タイタン、蛮神ガルーダの力を吸収しており、3体の蛮神の技を混合して放ってくる。

思い出しながら戦うんだ!!
光のお父さん!!

初めての蛮神とのたたかい・・・「イフリート」!!
緊張したし怖かったよね。でも倒した後、仲間の大切さを知ったよね?

何度も谷底に落とされた・・・「タイタン」!!
出荷されることを拒み・・・最後は立ったままクリアできたよね?

一度は破れ、くやしい思いをした・・・「ガルーダ」!!
きりんちゃんの優しい言葉に助けられ・・・大逆転勝利したよね?
まじめにひとつひとつ乗り越えてきたから・・・負けない。
各蛮神の力をはがしていく・・・。

蛮神の力をはがし取った後は、未開の領域!!
アルテマウエポン独自の攻撃だ!!
攻撃を避け、ありったけをぶち込む!!

うおおおおおっ!!

残り10秒・・・!
究極魔法アルテマが放たれるカウントダウンが始まった・・・!!

お父さん・・・よくここまでがんばりましたね!!
お父さん・・・これが最大マックスのリミットブレイク!!
間に合えっ!!(間に合う)

ファイナルゥゥゥゥーッ!

え!?お父さん、今は歌ってる場合じゃない。

ヘブン!!

おおおおおおーっ!!
爆発とともに崩れ落ちるアルテマウエポン・・・・。
最後なんか歌ってる姿がちらっと見えたけど・・・・。
LBの演出で盛り上がったのかどうだったのかは微妙だったけど・・・・。

光のお父さんラストダンジョン・・・踏破!!
みんなからおめでとうと言われうれしそうな光のお父さん。
さ!お父さん!!恒例のアレですよ!!

カシャ。
ここにいるみんなも、こうして旅立っていった。
ここまでの旅・・・いろいろあったよね。
長かったようで・・・短かった。
でも・・・・ここはゴールじゃない。
ラストダンジョンという名の 始まりのダンジョン。

大迷宮バハムート邂逅編第5層のクリア。
それがこの計画のゴール。
そこまで到達したとき・・・光のお父さんだけに用意されたシナリオが待っている。
その前に、とりあえずのエンディングムービーを見ておいで。

「今頃エンディングを見てるんでしょうかね?」
「感動してらっしゃるんでしょうか?」
「そうだね、あれは感動するもんね。」

僕はトイレに行きたかったが、5分ほど我慢してからトイレへ。
すぐに行くと怪しまれるしねw
父の自室の前を通る。エンディングの曲が流れているのがうっすら聞こえる。
きっと今頃、うるうるしながらエンディングを見てるんだろうなw
そんな姿を想像すると、僕もちょっとだけ泣けてきた。
僕がトイレから出ると・・・父が自室から僕を呼んだ・・・
「ちょっと・・・聞きたいことがあるんやけど・・・・」
ドキッとした・・・・。
それは・・・あまり聞いて欲しくない事を聞きません・・・? お父さん・・・・。
もし・・・気づいたとしても・・・もう少しだけ・・・
心臓がどきどきしてる・・・・。
ばれたのか・・・?なに・・?なんだ・・・?
エンディング画面を見せられ・・・・
父は僕に・・・ひとつだけ質問をした・・・・・。

オッケーです!
全然、オッケーですよ、お父さん!
はい!お好きな時に宿屋で見れますんで。
ええ!1時間くらいありますもんねw
ラストダンジョンをクリアしエオルゼアの危機を救った光のお父さん・・・。
もう次に進みたくてうずうずしているようだ・・・。
目指す大迷宮5層は・・・・まだまだ遠い・・・・。
でも・・・ここまで来れた光のお父さんならきっとたどり着けるよ・・・。
僕と、仲間たちがついているからね。
問題はそれまで僕の心身が持つかどうか・・・・だ・・・・。
つづく。
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