
ログアウトの時の挨拶・・・「おやすみなさい」。
そこに 一言添えるようになったのは、いつの頃からだろう。
もう何年前だろう。 まだエオルゼアという大地が無かった時代。
僕は、エミルクロニクルオンラインで初心者支援に精を出していた。

きっと僕はエミルクロニクルオンラインに疲れていたんだと思う。
初めてログインした頃の初々しい気持ちは忘れ去り、世界のすべてを知り、この世界のすべてに勝つ事ができる。
そしてなんとなく始めた初心者さん支援。そんな時に知り合ったのが・・・・
ひなちゃん と せとちゃん という二人の初心者さんだった。

僕にとっては、角を曲がった所にあるコンビニくらい当たり前になってしまったこの世界。
そのひとつひとつが彼女たちにとっては「初めて」であり、ひとつひとつに感動してくれる。
彼女たちと共に歩んだ旅路は、忘れていた大切なものをたくさん思い出させてくれた。
僕は、この二人が大好きで仕方なかった。だからこそかもしれない・・・。
この子達と明日も、明後日もずっと一緒に冒険したい。そんな気持ちがあったんだろうな。
そうか・・・その頃からか・・・僕が「おやすみなさい」に一言添えるようになったのは・・・。

光のお父さん計画。
それは、60歳を越えるゲーム好きの父にFF14をプレイしてもらい、自分は正体を隠してフレンド登録。
共に冒険を続け、いつの日か自分が実の息子である事を打ち明けるという壮大な親孝行計画である。
ついに初心者最初の難関である「サスタシャ」をクリアした光のお父さん。
ボス前では少し熱くなってしまうものの、そのほかは問題なく進める事ができるまでに成長した。
その後、個人チャットである「Tell」をも使いこなし、自らPTを集め次のダンジョン「タムタラ」の攻略を遂行。
誰もが驚く急激な成長を見せる。
順調な進捗を見せる光のお父さん計画・・・・ただ・・・唯一の誤算は・・・・
マイディーがダンジョン攻略に誘ってもらえないという悲しい現実だった。

・・・・・・せつない。
なんだろうこのせつなさは・・・。
例えば、お父さんとキャッチボールがしたい子供がいて・・・・。 キャッチボールを楽しみに家に帰ってきてー。
あれ?お父さんいない!? そう思って公園に行ったら・・・
お父さんは、他のお友達とキャッキャ言いながら野球をしていた。
入ろうにも、もう9人揃っていてチームには入れてもらえない・・・・。
自分は公園の外から楽しそうなお父さんを見るしかない・・・・・。

おいおいおい・・・子供なら即死クラスのトラウマだよ・・・。
正体を隠しているから仕方ないとはいえ・・・・大人でよかった・・・・。
しかし、毎回自分がパーティーにいるのも不自然!
光のお父さんからTellが来て、その自然の流れで進めてくれた事はグッジョブだ!
それでいい・・・それでいいんだ。

しかしなぜ誘われなかった・・・・怖かったのかな?
モンクだしなー・・・・ボカスカ相手を殴るのが怖そうだったのかなあ・・・・。
見た目か?見た目怖いか? 金髪好きなはずだけどなー・・・・。
ピロロロン♪


はいっ!喜んでぇぇぇーっ!!
キター!キター!!お誘いキター!!
なんだよ・・・結局ランダムで選んでるだけか・・・w
「いくろーさん!りりーさん!とある要人の警護をお願いします!」
FCじょびでもエースクラスのタンクとヒーラーに依頼!完全警護でカッパーベルを攻略だ!!

封鎖坑道 カッパーベル銅山
サスタシャ、タムタラの次に訪れることになるインスタンスダンジョンである。
3つ目のダンジョンでは、攻略のためにいくつかのはっきりとした手順を踏まないといけないゾーンがある。
果たして光のお父さんは数々のギミックに対応できるだろうか?

スタートと同時に跪く光のお父さん。
これは、光のお父さん流の「よろしくお願いします」の挨拶なのだろう。

意外なことにスムーズに進行していくカッパーベル。
お父さん以外のメンバーは全員LV50に達しているが、FF14では下位のダンジョンに突入する際、レベルシンクが発動し、光のお父さんと同じレベル帯まで落とされる。
つまり、一人のミスで全滅なんていうことも充分にありえるのだ。
しかし、スムーズに進行しているという事は、光のお父さんが問題なく成長しているという事になる。

りりーさんからも「特に問題なし」の評価を受ける。
カッパーベルに仕掛けられたギミックも光のお父さんはすぐに順応していた。
サスタシャの時もそうだった。 光のお父さんはどことなく、知っている動きをしている・・・。
僕は後日、実家に帰った時その秘密を知った。

驚くべきことに、光のお父さんはしっかりと「予習」を行っていたのだ。
予習・・・。それはFF14のひとつの文化である。
新しいコンテンツに挑む場合、攻略サイト等を事前に調べ、ある程度ギミックを理解したうえで攻略を開始する。
そうする事で周りの負担を少しでも減らそうという慣わしだ。
無論、仲間内だけでパーティーを組み、失敗を繰り返し楽しむのもアリだが、光のお父さんはそのレベルに達していない。

僕がFF14をインストールした際、「はい、これマニュアル」と言って無愛想に渡した本
「FF14公式スターティングガイド」
僕はこんな分厚いの読むはず無いと思っていたが、父の部屋にあるスターティングガイドはカバーがはずれボロボロになっており、ハガキやスタンプカードをしおり代わりにし、中にはメモがいっぱい記されていた。
僕たちが予習を行う際は、ネットや動画を参考にするが、お父さんはネットをあまり使わない・・・。
紙媒体での予習・・・・それが光のお父さんの予習なのだ。
僕はボロボロのスターティングガイドをパラパラとめくった時、なぜだか涙が出そうになった。
理由なんかわからない。

光のお父さんは、予習の成果をしっかりと発揮。

見事にカッパーベルも攻略して見せた。
光のお父さんの進撃はまだまだ続く。

焔の蛮神イフリート!!
光のお父さん、初の蛮神戦である・・・。
しかし、最初のイフリートはさほど強くない・・・強くないが初めて会うと怖い。
その恐怖を乗越えなければ勝てはしない・・・。
そんな恐ろしいイフリートの攻撃を一身に受ける今回の盾役は・・・

FC:じょび タンク課 室町きりん。
趣味は、アニメ、漫画、物件閲覧。
なんていうの?ほら・・・これはあれ・・・混ぜたら危険っつーやつ。
でもあえて、混ぜてみた・・・。

マイディー 「たのむよ!きりんちゃん!」
きりんちゃん 「たのまれたよ、まいでぃ~さん」

きりんちゃん 「きりんは光のお父さん(キャラ名)と初パティ~だね♪」
パティー・・・・それはハンバーガーとかのパンやできりんちゃんw
パーティーな・・・きりんちゃん!
光のお父さん・・・・
激しく・・・・

無反応。
じゃあいきますか・・・・。
マイディー 「光のお父さん(キャラ名)は、私と同じ攻撃係です!敵の攻撃が来たら避け、私が攻撃している所を一緒に攻撃してください!」
まあ、説明はこんなものでいいだろう。
では・・・初の蛮神戦はじめます!
マイディー 「きりんセット!!」
きりんちゃんは昔、相手の同意を得ずすぐにボスに突っ込んでいた。
そこでマイディーは自分の号令無しでボスに突っ込んでは駄目としつけたのだ。
マイディー 「ゴー!!」

きりんちゃん 「わんわーん♪」

お父さんはエラプションを踏まない。
予習済みだな・・・。 いけそうだ・・・。
イフリートの体力を順調に削っていく。
きりんちゃんもきっちりヘイトを管理している。

中盤、炎獄の楔が出現!
これを時間内に破壊しないと、イフリートの全滅攻撃が放たれる。
攻撃係DPSは、これを全力で破壊しないといけない・・・・が!
光のお父さんは、イフリートへの攻撃を止めない。恐怖心で状況が見えなくなってる。
一人でも破壊できるけど・・・・ここは覚えてもらう為・・・・。
炎獄の楔を破壊せず、闘器をしまうマイディー。 そして地獄の業火に焼かれ全滅。

なぜ全滅になったかを光のお父さんに説明し、炎獄の楔を破壊する事が重要である事を伝える。
2回目はきっちりと炎獄の楔を攻撃!そこを越えたらもうイフリートは怖くない。
じわりじわりとイフリートを追い詰め・・・

リミット!!

ブレイクッ!!
光のお父さん、蛮神イフリート 討伐完了!!

マイディー 「きりん!よくやった!」
きりん 「にゃんにゃ~ん♪」
さっき 犬だったのに・・・。
お父さんもお見事でした。がんばりましたね。
この後、きりんちゃんが頑張った光のお父さんに手作りのアクセサリーをプレゼントする事になった。
そして折角なので、FC:じょびのハウスへとご招待する事にした。
もちろん行ったことが無いので連れて行かないといけない・・・。

まあ・・・・なんていうか・・・その・・・
マイディー 「乗ります?」

なんか・・・照れくさい・・・。
そりゃ・・・お父さんのおかけでもらえたグランドチョコボだけどさ・・・。
お父さんは凄い凄いと感動していた。
そして、到着。

光のお父さん 「緊張するわ・・・」
きりんちゃん 「きりんも緊張するわ~ん」
なんでやねん。

このソファも暖炉もみんなメンバーの手作りなんです。
みんなで協力してお金を貯めて、一生懸命頑張って頑張って土地を購入したんです。
ここが私たちの家なんですよ。 そしてこれが私の大切な家族です。

ただただ、エオルゼアという世界に感動を繰り返す光のお父さん。

きりんちゃんもすっかり光のお父さんになついている・・・。
他のメンバーたちも駆けつけ、穏やかで静かな時間が流れた。
いつものじょびネッツアらしい空気・・・・。
楽しい時間はあっという間にすぎ、午前0時、沢山の人がログアウトするシンデレラタイムが訪れた。
お父さんもログアウトの時間だ。
「おやすみなさい」の時間・・・。
みんなで光のお父さんを見送る・・・。

そして、別れ際・・・光のお父さんは僕たちに一言残してくれた。





「おやすみなさい!また明日!!」
ログアウトの時の挨拶・・・「おやすみなさい」。
そこに 一言添えるようになったのは、いつの頃からだろう。

オンライン上の人の繋がりは・・・儚くて脆い。
どんなに大好きな友達も、ログインしなくなればもう会えない。

僕はそれが、寂しくて寂しくて仕方なかったのかもしれない。
だから・・・別れ際に何か約束が欲しかったんだろう。

「また明日」
明日も会いたい。ずっと会いたい。この世界でその気持ちを持ち続ける限り、人は人に優しくなれると信じてる。
僕たちがログインを続けるのは、ゲームがおもしろいというのもあるけど・・・
それ以上にそこに「会いたいと思う人」がいるからに違いない。

お父さん、エオルゼアには僕の大切な人たちがたくさんいるんだ。
ケンカもするけど、大好きな友達がたくさんいるんだ。
何も知らないお父さんが、僕の大切な人たちと知り合い共に冒険を続けてくれた。
そしてその答えが・・・・「また会いたい」なのであれば・・・・

僕が歩んできた道は、間違っていなかったってことでしょ・・・?
・・・・・・お父さん。
この日、光のお父さんはこの世界のとても大切なものに触れたのだと思う。
僕が愛した世界を、きっとお父さんも気に入ってくれたのだろう。
僕は、それが何よりも嬉しかったんだ。
そして訪れる・・・運命の日・・・。
9月11日・・・・

「光のお父さん!ログインしましたーっ!!」
「よしっ!よくやったぞみんなっ!」
僕は密かに闘っていた・・・・運命の日と・・・。
それは・・・僕がFF14のソフトをインストールしている時だった・・・・。
光のお父さんは言っていたのだ・・・。

「あのディスティニーってゲームおもしろそうやわ」
「そう・・・か?」
「全てを超える!やからな。」

まずいぞこれ・・・・。
なんとか発売日までに・・・FF14の楽しさを伝えないと・・・・!!

この上にディスティニーが詰まれると・・・もうFF14は忘れられてしまうぞ・・・・!!
「全てを超える」ディスティニーを・・・超える力で超えて行かないと!!
そう思って頑張ってきたんだ・・・やや無茶もしたもんなあ・・・・。
でももう大丈夫・・・!!!
運命の日、ディスティニーの発売日は乗越えた・・・・。
計画が終わった後、ゆっくりと遊んでくださいw

人との繋がりの楽しさを知った今、エオルゼアはどんな世界よりも魅力的でしょ?
だって、エオルゼアで会える友達は、エオルゼアにしかいないからね!
それこそが、全てを超えるコンテンツなんだよ。
では今日も行きましょうか!!
次の目標は蛮神タイタンですよー!
少し変わった親子の旅路は・・・・まだまだ続くのであった。
つづく。
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