
今日は、趣向を変えて漫画のお話を少々。
最近面白い漫画は何ですか?と聞かれると即答したくなるのが、

永井豪の「激マン」である。
最初本屋で見たときは、バクマンで火が付いた「漫画家漫画」ブームにあやかり、天下の豪ちゃんが
「俺の話も聞け!」と始めたのかなと思ったんですが、表紙の力の入れ具合に思わず買ってしまったんですよね。
で・・・読んでみると・・・滅茶苦茶おもしろい。
ただっ!この面白さは万人受けしない・・・かなりれれるの高い漫画オタク用だ。
というのも、この漫画を楽しむためには、まず予備知識として
作者である「永井豪が何をしてきたか」を知っていないと100%楽しめない。
永井豪が自らの半生を語る激マンは、言うなれば「答え合わせ」だ。
「マジンガーZ」や「ハレンチ学園」「デビルマン」という名作をどういう気持ちと状況で生み出したかを切々と語っている。
ただ、さすが感性だけで漫画を描ききる豪ちゃん。
6巻まで出てるけど・・・もはやこれは「メイキングオブデビルマン」漫画になってるしw
これはかなりの長編になる感じだw
てな具合で、ずーっとデビルマンの制作秘話が綴られています。
でもおもしろい!なぜか?
それは・・・私自身、数ある漫画を読んできましたが・・・未だに
「デビルマン」を越える漫画は無い。
そう思っているからです。

デビルマンと言えば、1972年に放映されたアニメ版が有名です。
悪魔のデビルマンが、人間の牧村ミキに一目ぼれし、デーモン一族を裏切って人間の為に戦う。
わかりやすい物語で、主人公が悪魔と言ういわゆるダークヒーロー物のさきがけとなった作品です。
今回のお話はこちらではなく、アニメとほぼ同時期にスタートした原作版と呼ばれる漫画版のデビルマンです。

原作版デビルマンの何がすごいのか?
それは・・・
後半広げに広げたストーリーの大風呂敷を・・・・
最後の見開きページで一瞬で畳んでしまう。
という、神業です。
最後の見開きページには解説も台詞もありません。
たった1枚の絵です。
全編を通してのストーリー、この世界に人間が存在する意味、デーモンの意味。
戦争という狂気の結論、その全てが1枚の絵を見るだけで
「そういう事だったのか!!」
と納得する。納得するだけでなく、人間というものについて深く考えさせられる。

初めて読んだ時、思春期の僕は、眠れませんでした。
大人になってから読み返したら、また違った怖さがあり、また眠れませんでした。
たった全5巻。その中に天才・永井豪の全てが詰まっていて5巻とは思えない程に濃密な内容。
引き込む力。絶望。

導入部分のストーリーをネタばれしない程度に解説しておこう。
主人公は、真面目でちょっと根性が足りない「不動明」。
ある日親友の「飛鳥了」の父親が焼身自殺をしてしまう。
了の父の死体には不審な点があった。
死体の大きさはそのままなのに、体重だけが倍になっていたのだ。
了は明に父が生涯研究していた、悪魔・デーモンの存在を打ち明ける。
人間がこの世に誕生する前、地球の住民はデーモン一族だった。
その世界は力こそ全て。デーモンは生きる為に相手を捕食し、融合して強い個体となっていく。
だが、何らかの理由で氷の中に閉じ込められ、滅んだように見えた。
その間に人間が誕生し、現在に至る。
了は語る。
語りづがれ手いる狼男やドラキュラもなんらかの形で冬眠から覚めたデーモンなのだ。
そして、今、そのデーモンが眠りから覚め、地球を奪い返そうとしている。
合体を繰り返した強力なデーモンは、人間の武器では対抗できない。
デーモンに対抗するには、自ら悪魔に捕食され、合体された上で
強い精神力を持ってデーモンの意思を押さえ込み、乗っ取る。
悪魔の身体と人間の心を併せ持つ「悪魔人間」になるしかないと。

その後不動明はデビルマンとなり、デーモンと戦っていくわけですが
その戦いの中で、デーモンよりも恐ろしいもの。真の倒すべきものを悟っていく。
物語中盤の「悪魔狩り」は、もう思い出したくない程の絶望ぶり。
現代の漫画ではまず許されない。
幸か不幸か、自分は中学生くらいの時に、初めてデビルマンを読みました。
ええ。今でもトラウマですね。
悪魔狩り。
これだけの展開をしておきながら、その謎の全てを一枚の絵で締めくくる永井豪。
間違いなく。天才である。
絶望のドラマの最後に希望が残るのは絶望のドラマじゃない。
希望の光すら残らないからこそ絶望のドラマなのだ。
だから言いたい。
えっ!?
「デビルマン」読んだこと無いの!?
それは幸せな事ですねww
ただ、あれ以上の傑作漫画も読んだ事は無いですけどねw
でも、一度読んでみるといいかもしれない。
人生を生きていく上で、どんなに辛い事があっても「不動明」よりマシだ。
そう思って少しだけ元気になれるから。

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