地球には、3794の 謎 があるといわれている。モアイ像、ナスカの地上絵、ストーンヘンジ・・・世界にはなぜそれが存在するのかわからないものがたくさんある。
夕飯時にテレビをつけるとそういった謎に挑む番組が放送されていることも多い。
しかし、何十年も前から追っているのに、未だにそれらの謎と解く決定的な答えはみつかっていない。
そんな番組はよくこんな感じで最後をしめくくる。
「今の人類では、この謎を解くことはできないのかもしれない。」いったいなぜそれが存在するのか? それにどんな意味があるのか?
もし真実にたどり着き、それらの謎の答えを知ったとき、僕たちはびっくりするだろう。
そしてそれと同時に、「謎」に秘められた「ロマン」もまた失われる。
謎は、謎のままであるのが一番いいのかもしれない。
光のお父さん計画・・・・。それは、60歳を越えるゲーム好きの父にFF14をプレイしてもらい、自分は正体を隠してフレンド登録。
共に冒険を続け、いつの日か自分が実の息子である事を打ち明けるという壮大な親孝行計画である。
大迷宮クリアを目指し始めて数週間、光のお父さんとパーティーメンバーはアラガンロットを克服し、見事に2層をクリアする事ができた。しかし、最終目標の5層ツインタニア討伐までの道のりはまだまだ遠い。
そんな光のお父さんたちを待ち受けるのは・・・大迷宮最大の謎・・・邂逅編「3層」だった。
2層のクリアが見えてきた頃の夕飯時、父は唐突に切り出したがあった。「なんで?」僕は聞き返す。今まで予習を怠らなかった父ができないというのは初めてだ。わからないじゃなくてできない?
「どこも、3層については詳しく載ってないのや・・・」なるほど・・・。
「3層には何があるんや?」そう・・・聞かれても・・・なんと伝えればいいんだろう・・・・あの3層の事を・・・・。
「な・・・なにも・・・・ないよ・・・。大丈夫やろう・・・」僕はそう言い残し食器を片付け、自室へと向かった。
お父さん・・・僕はお父さんに「3層」に何があるかを教えてあげる事ができないんだよ・・・。
お父さん・・・・。
めるくん 「いよいよ3層ですね・・・下限アイテムレベル装備の準備は完了です。」マイディー 「3層か・・・・大迷宮最大の謎・・・・。」めるくん 「お父様は何かおっしゃってましたか?」マイディー 「予習できない・・・ネットで調べても訳がわからないって・・・」めるくん 「・・・・たしかに。」
るーしー 「自分も初めて3層に行った時は・・・わけがわからなかったよ・・・。」めるくん 「そうだね・・・」
るーしー 「なんであんな所あるんだろう・・・さすがに何回も行こうって思わないよ。」マイディー 「みんなそうさ・・・あれは・・・1回だけで充分だ・・・しかし、3層を越えないと4層には行けない。行かないわけにはいかないさ・・・」るーしー 「うん・・・。」
マイディー 「ではめるくん!予定通り来週月曜に3層へアタック!るーしーはそれとなく父に弓の指導をよろしく!」めるくん・るーしー 「りょうかいしました!」マイディー 「解散!!」
めるくん 「あ・・・先生・・・」マイディー 「ん?」めるくん 「このまま5層をクリアしたら・・・本当に息子である事を打ち明けられるんですか?」
マイディー 「最近は注目してくれてる人も多いんだ・・・どうせならブログで告知して、みんなの前でどうどうと告白するのもいいかなーとか考えてる。」めるくん 「公開でですかっ!?」マイディー 「その方が応援してくれている人達も喜んでくれるかなって・・・w」
めるくん 「お父様のお名前を公開してしまえば、その後、お父様は純粋に冒険を楽しめるでしょうか?」その後・・・・?
打ち明けたその後・・・・・。
そのあとのこと・・・・。
この時のめるくんの一言。まわりが「光のお父さん」に対して騒がしくなり、初心がブレそうになっている僕にグサリと突き刺さった。

いつの間にか「光のお父さん」を読む人も増え、たくさんの人が応援してくれるようになった。
それはとても暖かくうれしいものだった、でもたくさんよせられるひとつひとつの期待は大きく集まる事で、この計画を大成功させなければならない大きなプレッシャーにもなっていた。
言うのか、言わないのか。その考えが純粋なものではなくなってくる。
そう、
「光のお父さん計画」は、いったい誰のための計画かを見失い始めていたんだと思う。
それでも日々は過ぎていく。

毎週月曜日の22時。いつものたまり場から出発。
マイディー 「きりんちゃん、今回のMTはるぶくんに任せよう。」
きりんちゃん 「は~い」
MTとはメインタンクの略である。
大迷宮等のハイエンドコンテンツは盾役のタンクが2名いる。そのうち1名がメインタンク、MTとなりパーティーの進む方向を決めたり、ボスの攻撃を引き付けたりする。そしてもう1名はST、サブタンクとして普段はボスとの戦闘中に出現する雑魚のターゲットを取ったり、MTのサポートを行ったりする。
3層はMTの動きが全てだ。内容を知っているきりんちゃんがMTを勤めるよりは初見のるぶくんに任せたほうがいいだろう。
光のお父さんはもちろん、ARISEの面々も3層については何も知らない。いつもどおり予習なし。
1層の蛇、2層のまる。二体とも強力な攻撃とギミックを持ったボスだった・・・。
次は3層・・・果たしてどんな戦いになるのか・・・・ARISEの会話を聞いていても緊張感が伝わってくる。
マイディー 「では、そろそろ時間です!各自準備を!!」めるくん 「いつでも!」ぱすてぃーちゃん 「おっけーです」あんじゅくん 「こーい」そらりすさん 「はい」
よし!気合も充分ですねっ!お父さん!!
マイディー 「それでは!コンテンツをファインドしますっ!!」シャキーン!!
ラグナロク級拘束艦:機関部地下 1233ヤルム。大迷宮第3層。光のお父さんたちはついにその場所に足を踏み入れた。
僕たち8人はやってきた。大迷宮3層に。大迷宮最大の謎を持つ階層・・・3層。
マイディー 「では、誰も 二度と行きたくない という3層始めますか・・・」るぶくん 「2層よりやばいのか・・・慎重に行きましょう!」マイディー 「るぶくん、今回はMTをお願い。」
るぶくん 「え、急にMTw」高まる緊張感・・・。
るぶくんを先頭に、恐る恐る進んでいく8人・・・。
3層はスタートと同時にボスがいるステージではない。
ステージは円柱の空洞になっており、その周りに廊下のような広い足場がいくつも連なっている。
そこを下へ下へと進んでいくステージだ。

足場と足場の移動は、ジャンプ台を使用する。飛びたい方向に矢印をセットしてその矢印の上に乗れば・・・
びよ~んと次の足場へ飛ばしてくれる。古代アラグの人たち・・・本当にこんなんで移動しながら生活してたんだろうか・・・・。
たまに雑魚がいる足場もある。特別強いわけでもなければ弱いわけでもない雑魚。
8人でかかれば負けることはそうそうない。

特に目立った攻撃もなく、通常のダンジョンにいる敵とそう変わらない。
光のお父さんも特に問題なくこれを倒しつつ進む。

そろそろみんな思い始めるはず・・・
「なにかいつもと違う・・・」と・・・。
あまりに歯ごたえがない戦いの連続・・・。ただジャンプして敵を倒して・・・びよーんびよーんと飛んでいくだけ。
いつまでたっても現れないボス・・・・。張り詰めていた緊張感が徐々に緩んでいく・・・・。
そして緊張が緩むと・・・事故が起きる!あれ?なんか敵の攻撃が痛い!体力の減りがっ!!
待って!るぶくんっ!!ヒーラーがいない!!るぶくんは、安心しきっていたのか、ずいずいと進んでしまった。
実はこのジャンプ装置はやっかいなのだ。光っている部分に触れるとジャンプする方向を示す矢印がそちらの方向に向いてしまう仕様になっている。

なので、こういうルートでジャンプ台に入ると、ジャンプする寸前に矢印が反対側をさしてしまい前に進んでいるメンバーとは違う足場へと飛ばされてしまうのだ。
これにより、結構パーティーが分断されてしまう事故が起きる。本当に古代アラグの人たちはこれで移動してたのだろうか?
古代アラグのイオンとかはエスカレーターの変わりにこれが設置されていたのだろうか?
週末に買い物に来た親子が分断されたりしなかったのだろうか?
しかもかなりまずい形の分断だ。先頭を走っていたのは、タンクのるぶくん、マイディー、めるくん、光のお父さんのDPS3名。
回復する手段が無い・・・・。回復が無ければそんなに強くない雑魚といえどタンクは持たない・・・。
なんとかめるくんが素早く放った めるめるめてお で殲滅はできたけど、るぶくんが倒れてしまった・・・。
こういう場合、下手に動いてはいけない・・・・。ヒーラーの到着を待とう・・・。下手に敵に見つかると攻撃を受け、DPS3名はあっという間に倒れるだろう・・・。

まだ雑魚がいる・・・息を殺して通過を待とう・・・。
まずいな・・・巡回のドレッドガードがこっちに来る・・・・。めるめるめておを逃れた巡回モンスターがこちら側にじりじりと近寄ってくる・・・。
少し距離をとってやりすごそう・・・・・。

お父さん・・・・お父さん・・・・その位置あかんやつや・・・ゆっくりこっちに・・おと・・・・・
なんやろう。分断された時から このシーン は想像できてたわww
くそっ!こうなったらっ!!
こうなったら・・・どうしようもない・・・。
めるくん、光のお父さん、ともに倒れる・・・先行組は全滅・・・・。
ヒーラーの到着を待とう・・・。
しかし・・・なかなか合流しない・・・・。
あれ・・・?これってまさか・・・・!いつのまにか僕らを追い越して・・・
あんじゅくんの発言を見て、
不安が確信に変わった・・・。
あんじゅくん 「なんか色の違うワープするやつが」やっぱり!!いつのまにか後続組が僕らを通り過ぎて先に進んでいたのか!!
いけない・・・!!それにはまだ触れるなっ!!それに触れると・・・大迷宮最大の謎が噴出すぞ!!全員そろってからそれに触れるんだ・・・!!
駄目だ!!それに触れてはいけなっあんじゅくんはそんな事に気づかずに・・・・それに触れてしまった・・・・
たらら
ちゃらららーらーらーら~♪ちゃっちゃら~♪
ちゃーらーらーららーららっららっちゃーらーらーらら~♪
大迷宮3層にけたたましく、クリアのファンファーレが鳴り響く・・・・・。あんじゅくん 「え」ぱすてぃーちゃん 「えっ」るぶくん 「え」呆然の初見組。
あんじゅくん 「ターミナル起動したら・・・クリアって・・・ボスは?」るぶくん 「説明が必要!」
大迷宮最大の謎・・・ それは・・・
「この 3層の存在自体 が最大の謎」 なのだ。
大迷宮は、ハイエンドコンテンツ。それゆえに各階層それを攻略するためのギミックを暴き、倒す必要がある。
ただ、3層にはなぜか、ボスがいない。これといった仕掛けも無く、隠された財宝や、一定のアクションをとることで何かが現れたりという隠し要素も無い。
ただ進んでゴールについて終わり。
では3層はなぜ存在するのか?必要なのか?それが謎なのだっ!!あまりに何も無いので、攻略情報もあまり出ない・・・攻略動画も見つけにくい・・・。
光のお父さんが予習できなかったのもこの為だ・・・。
そりゃ・・・1回行けば充分なのである。何度も行こうと思わない。あまり行く意味も無い・・・それが3層なのだ。
説明しても「???」なARISEメンバーたち。
それでいいんだ。それが3層なんだ。
でも・・・お父さん・・・さすがですね・・・。さすが色々な伝説を作ってきたお父さんです・・・・。
ここでまた新しい伝説・・・。
「3層で出荷される。」 という偉業を成し遂げてしまいましたね・・・・。
この何も無い3層で、それだけはちょっとおもしろかったですw
謎は謎のままいいのかもしれない・・・。
3層も、ピラミッドもナスカの地上絵も・・・・実はたいした意味もないのかもしれない。
翌日の夕飯時、父は楽しそうに3層の話を語っていた。
本当に楽しそうに語る父を見て僕は思う
3層をクリア、次は4層へ・・・・いずれ4層もクリア、この調子なら5層もクリアする日は必ず来るだろう。
ゴールは確実に近づいてきている。それだけは真実なのだ。どう伝えるか・・・そもそも伝えるべきか・・・。
伝えることで、父はエオルゼアを今まで通り楽しめるのか?
「その後、お父様は純粋に冒険を楽しめるでしょうか?」めるくんのその言葉だけが、僕の頭をぐるぐると回っている。
光のお父さん計画の終わりは近い。
つづく。
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