それは僕が大阪で芸人をしていたときの話。家にも帰らず、ミナミのNGK近くの稽古場で寝泊りする日も多く、よなよな友達と飲み歩く日が多かった。
そんなある日、ミナミの真ん中で、どう見ても怖いヤクザ風の男とよっぱらいが口論をしていた。
よっぱらいはかなりでろんでろん。やがてやくざ風の男がよっぱらいの胸倉をつかんで思いっきり腹パン。
よっぱらいは腹を両手で押さえつつ、かがみこんだ。
僕は、あーあ・・・きっとよっぱらいから絡んでいったんだろうな・・・・と野次馬に混じり成り行きを見ていた。
ヤクザ風の男はクールに立ち去ろうとよっぱらいに背を向け歩き出そうとした瞬間。
よっぱらいの男からウンウンといううめき声がやんだ。
その後だった、僕は一生忘れない信じられない光景を見た。よっぱらいは・・・
腹を押さえ、屈み込んだ状態からゆっくりと立ち上がりながら歌い始めた。
オウオオーオウオオー あれこそは♪オウオオーオウオオー だーいーてつじーん♪ ワンセブン!!ヤクザ風の男も、野次馬もきょとんとした表情で男を見ている。
でも僕は、笑いをこらえるのが必死だった。
なんで、今あのよっぱらいは・・・「大鉄人17」のオープニングを再現したの??なんで今っ!? この圧倒的な危機的状況でwww
そのままヤクザ風の男も立ち去り、よっぱらいも上機嫌で仲間の元へ戻っていったが・・・
大阪には芸人より面白い人が普通にいるんだなと深く感じる出来事でした。
翌日芸人仲間にその事実を伝えたが、誰も「大鉄人17」を知らず、おもしろさはいまいち伝わらなかった。
さて!本日購入いたしましたのは・・・
ワールドスコープ 大鉄人17 アクションフィギュア「大鉄人17」は、1977年に東映が製作した「特撮巨大ロボットヒーロー」。原作は仮面ライダー等と同じ石森章太郎。
巨大電子頭脳「ブレイン」と戦う、意思を持った巨大ロボットワンセブンと三郎少年のお話。
その主役ロボワンセブンを全長30cmのアクションフィギュアとして発売。立体化はいくつかされているワンセブンですがアクションに重点をおきつつ、大きいアイテムは少ない。
なんとお値段・・・17,200円。 高い・・・けど・・・ワンセブン好きなので一生飾ろうと思って購入。
では開封です。
まず・・・でかい。 ガンプラで言うと1/60サイズですね。
そして・・・めちゃめちゃかっこいい・・・。要塞ワンセブン、飛行ワンセブンへの変形機能をオミットしただけあっていいスタイルだわー。
開封して立たせた状態で、5分くらいは見とれてました。実際の番組にでてくるワンセブンはもっと顔が大きい。
全体的なスタイルは、リアルに着ぐるみを再現というより、アニメっぽくアレンジされている。
たぶんアニメだとこれくらいの等身になるんでしょうね。
まず、白(シルバー)、赤、青、黄のヒーローロボに使われるカラーの配分が絶妙ですね。
そしてかっこいいだけではなく、どことないかわいらしさ。石森原作のロボット!という感じですよね。
まず目を引くの胸のナンバー「17」。セブンティーンではなく、1と7でワンセブンと呼ぶ。
鉄人28号へのオマージュで、「2」と「8」から、それぞれ「1」ずつ引いた数字「17」になっている。
大鉄人と鉄人より強そうな冠がついているが、実は謙虚なのだ。
プレートは豪華にダイキャストを使用していて、質感も良く、かっこいい。
物語前半で重要なキーになる「目」。ワンセブンは自我を持つロボットで、自分の意思で行動する。しかし前半は言葉がしゃべれず、主人公の三郎少年との意思の疎通は目で行う。升目が全て白くなり青いラインが流れると「YES」。赤いラインだと「NO」。なのだ。
その設定と、もどかしさが、なんとも良かったけど、19話で急に目のパターンでの会話はなくなり、「ワンセブン、イヤダ」みたいな
カタコトの日本語をしゃべれるようになる。一人称が自分の名前という女子っぽいところもあってかわいい。
すね部分の面構成の美しさ。これもワンセブンのデザインで気に入っている所です。派手な装飾があるわけではないけど、面の取り方だけでかっこよく見える。
ワンセブンはつま先のカバーが開き、シグコンタンクというメカを出撃させる機能が備わっているけど、このフィギュアはアクションを重視しているためそういうギミックはついていない。

当時の戦隊ロボなど、特撮ロボットの着ぐるみって「握りこぶし」がデフォルトなんですよね。
しかし、ワンセブンは人と対話する際、手のひらに人を乗せたりするので指を動かせるグローブタイプもあった。
それゆえ、全指が可動するこのワンセブンはまさにフルアクションと言えますよね。
やっぱりワンセブンは煽りから見たい。特撮巨大ロボットものなので、ワンセブンの巨大さを表現するため劇中でも煽りのカットが多かった。
それゆえの30cmサイズなんだろうなー・・・・惚れ惚れ。

ワンセブンって、デザインもかっこいいですが、
ストーリー もなんというかおもしろいw
地球の環境を守るために作られた巨大コンピューターの「ブレイン」。あまりに賢いブレインは地球の自然を守るためには人間を滅ぼすしかないと判断。人を裏切り、「超生産能力」という技術を駆使して悪のロボットを作り地球の為に人類を抹殺しようとする。
そんな中、動けないコンピューターのブレインは自分の分身となるロボット「ワンセブン」を作り上げるが、あまりに出来が良すぎて自我を持ち、人間を守ろうとする意思が備わりブレインの元を離れ、友人になった三郎少年とともにブレインと戦う。

ある日、三郎君は友情の証にお前の秘密を見せろとワンセブンに要求。
ワンセブンは、シカタナイナーサブロウクンみたいな感じで、腹部の装甲をチラッと開け、三郎君に見せてあげる。
劇中でそれを見た、三郎君はとんでもないことを言う。
「核弾頭が12発も!!すごいやっ!」いや・・・すごいけど・・・。
三郎君・・・友達の家で、自慢のカブトムシを見せてもらったくらいのリアクションだけど・・・
色々大丈夫?

テーマ自体は、機械と人間の共存的なテーマでスタートしなかなか濃いドラマ展開なのですが、視聴率が伸びなかったのか途中から路線がコメディ路線に変わり、子供番組色が濃くなった。よくある昭和ヒーローの駄目になるパターン。
弟ロボのワンエイトも登場し、エンターテイメント性も増していく。ワンセブンは徐々に子供の味方になり、スタート当初内部を人に見せること拒んでいたのに、体内にリビングを作りブレインと同等の「超生産能力」を使い子供たちを招いてケーキやソフトクリームを振舞う。いいロボットになっていった。

ワンセブンの必殺技。

腹部装甲が開き周りの重力を操作する
グラビトン攻撃。これを喰らった敵のブレインロボットは、重力の力で超圧縮され爆発する。
強力な必殺技だけど、クールタイムが15時間。
その弱点をついた2体のロボでワンセブンに挑むというブレインの賢さがかっこよかった。
計算する!ズンズンズンズン。
そしてワンセブンは最終回が熱い。ブレインは破壊しても破壊しても、「超生産能力」を使い自己修復する為、何度攻撃しても完全破壊に至らない。
人類は、対ブレイン用に開発されたコンピューター「ビッグエンジェル」にブレインの破壊方法を計算させる。
そして導き出された答え・・・
「ワンセブン・サブロー」。
これを翻訳すると・・・
ブレインの近くに発生する「ブレインエリア」に入るとワンセブンはブレインに操られてしまう。
なので、ワンセブンの超生産能力でワンセブンの体内に操縦席を作り、三郎君に操縦させ、ブレインにぶつければいいというマジで言うてんのっ!?っていういかようにも信じがたい無慈悲な答え・・・。

なんやかんやあったものの、結局それしかないしそれで行こうみたいな空気になって。
ワンセブンの操縦桿を握る三郎君。
ブレインは地球のために人類を滅ぼそうとする。それを止めようとがんばってきたワンセブンと三郎君。
命がけで守ってきた人類に、最後は、お前らが滅んで人類を救えって言われる三郎君とワンセブン。
人間ってつくづくひどいエゴの塊だ。

それでも、ワンセブンは文句のひとつも言わず最終形態「戦斗飛行ワンセブン」形態で、三郎君に操縦させてブレイン上空からブレインに向けて急降下をかける。
ワンセブンの目から見ると勝手な話だ。
地球の為に人類が作ったブレイン。そのブレインが出した答えは人類の抹殺。
それでも人類を守るために戦ってきたワンセブン。
最終的な結論は、自分と友達の三郎君も死ねってか・・・。
そんな想いの急降下、ブレインエリアも突破できたので、あとは落ちて人類のために死ぬだけ。
そこでワンセブンは最後の決断をする。
「サヨウナラ!サブロークン!サヨウナラ!!」ワンセブンは三郎君を強制輩出し、そのままブレインに激突、大爆発する。

君のことは忘れないよ!ワンセブン!
ワンセブンは不滅のナンバーや!!
と夕日に向かって勝手な事を叫ぶ人たち。
というシーンで大鉄人ワンセブンは終わる。
しかし・・・
この人たち・・・もう少ししたら、きっとみんな死ぬ。全てこれはブレインの計算だったのかもしれない。
大人はみんな都合が悪いことは忘れようとする。
ブレインを作った理由も・・・三郎君が戦った意味も・・・
ワンセブンに搭載された、12発の核弾頭という設定も・・・・。
自分で作ったものは、自分で責任を持て。そんな目でワンセブンは、今日も僕を見下ろしている。
高い買い物だったけど、そんな当たり前のルールを、僕はこのワンセブンを見るたびに思い出すだろう。
そう思って飾ってるけど・・・まず思い出すのは、あのミナミの酔っ払いだったw
独身万歳!!
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